06.そうだ、刑務所に逝こう。
第3回
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「先ず、君の部下から報告があった」
部屋の鍵を閉め、カーテンも全て閉める。電気は敢えて付けず、部屋はカーテンの隙間から仄かに光が差し込む以外、この部屋に灯りは無かった。
「嗚呼、リサとユリが軍の拠点の偵察に行きましたね。如何でしたか?」
「軍」―――と言っても、その集団の姿を見た者が勝手に付けた呼び方だが―――それは、人間と人外のどちらもを捨て去りたいと言う願望を持つ者を、機械の体に変え、能力を持たせた集団。
人間よりも強く、人外よりも、能力者よりも強い。それが軍の構成員。
「軍の連中の殆どが居なかったらしい。だが、其処には空間を曲げるような能力を使った痕があったらしい。若しかすると、この世界に軍の連中が来てしまったかも知れないのだ」
「となると、今回の私の任務は、この世界に軍の連中を全て殺す事。ですね?」
この世界には、恐らく能力が無い。そんな世界に軍が現れたとなると、この世界が滅びかねない。
「分かっているなら話は早い。期限は三日。葉月君達を好きに使って良いと、白猫の首領殿から許可が下りている。やってくれるね?」
◇ ◆ ◇
琴葉とフランは部屋を出て、個別に行動を始める。
「軍は恐らく、この刑務所内には居ない。だが、絶対此処には来る。丁度良い拠点となるから………武器を整えて来るとすると、襲撃は明日、か…………今日は数人で乗り込んでくるかも知れない。でも、構成員共が乗り込んでくる可能性は低いな。此処の刑務所は吸血鬼と交流が在るから、人外が使っている兵器を使うかも知れない………となると、殺人の為に育てられたって兵器を操って、攻撃を仕掛けてくるって感じだな。能力の痕が残っているって事は、十分以内。襲撃の準備が整うのは昼過ぎ。余り規模は大きくないだろうから、私だけで足りるか? だが、能力は遣わない方が良いんだよな………否、一瞬で片付けよう。後は葉月でも連れて行けば、今日は凌げる」
「なぁにブツブツ言ってるの?」
房の中から、囚人が琴葉に話し掛ける。
「わっ………嗚呼、ノアさん似の囚人」
「はは、嬉しいねぇ。でも、僕は零だよ。宜しくね、琴葉さん」
零は鉄格子の隙間から腕を伸ばし、琴葉に手を出す。それを握り返すと、琴葉は房に近付き、中を覗き込む。其処には、暇そうに寝っ転がる、チャラチャラしている囚人と、部屋の隅で本を読む、気弱そうな囚人が居た。
「興味があるのかい。ええとね、煩そうなのが陽、静かそうなのが雷だよ」二人を指さしながら、小声で琴葉に伝える零。「何時もは三人で盛り上がっているんだけどね」
「嗚呼、有難う。君達は、何時も誰の血を飲んでいるの?」
血を飲まなくても、暫くは生きていける吸血鬼も居る。本当に吸血鬼なのかと疑いたくなる程血を飲まない吸血
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