第六十話
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第六十話 誘惑の瞳
カーミラは妖しく笑って二人の美女達に誘いをかけた。
「これからお食事にしようと思ってるけれど」
「これからですか」
「そうされるんですか」
「ええ、よかったらね」
二人の目を見て言った。
「お食事だけでいいからね、一緒にね」
「貴女とですか」
「そうして欲しいとですね」
「そう思っているけれど」
こう言うのだった。
「どうかしら」
「ええと、貴女はどなたでしょうか」
「初対面の方ですが」
「随分とお奇麗な方ですが」
「日本人じゃないですよね」
「ミラーカ=フォン=ブラウベルグというの」
カーミラは名前は自分がかつて使った名前にして姓は以前会ったオーストリアの貴族出身の教授の名前を出した。
「オーストリアから来たわ」
「あの国の方ですか」
「そうなんですか」
「ええ、けれどね」
カーミラは美女達に妖しく微笑んだままさらに話した。
「今はこの神戸に住んでいるのよ」
「そうですか」
「今はこちらにおられるんですか」
「画家をしてね」
偽りの職業を騙った。
「そうして暮らしているの、そして今はね」
「私達と、ですね」
「お食事を、ですか」
「どうかしら」
ここでだった、カーミラは能力を使った。
その目に妖しい赤い光を宿らせた、するとだった。
美女達は急に目をとろんとさせてだ、魅了された様にして言った。
「はい、わかりました」
「そうさせて下さい」
カーミラに移ろな声で答えた。
「お食事だけなら」
「私達も」
「それだけをお願いね。お金のことは心配しないで」
実際にカーミラは金には困っていない、錬金術を知っているので金や宝石をどれだけでも出せるからだ。
「存分ね」
「頂きます」
「そうさせて頂きます」
二人の返事は虚ろなままだった、そうして。
三人で店に入った、すると店員が愛想よく挨拶をしてきた。
「いらっしゃいませ」
「三人よ」
カーミラが応えた、そうして美女達と楽しい時間を過ごすのだった。
第六十話 完
2018・6・6
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