十九匹め
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その髪はウェーブがかかり、実際よりもボリュームがあるように見える。
首もとや腕や脚…顔と手以外の服から露出している部分は全て白い毛に覆われている。
そして無表情でぽやぽや…というかぽやー…っとした雰囲気を醸し出している。
大きい方は小さい方をそのまま大人にしたような感じだ。
バストは豊満で腰は括れている。
そして、二人とも頭に角があり、裸足…否足先が蹄である。
サテュロスと呼ばれる羊のデミヒューマンだ。
そして…
「お、お久しぶりですねセンマリカさん、メリーちゃん」
シラヌイの知り合いであった。
side in
『杞憂』というのは要するに『天が落ちてくる訳ねーだろバーカ』という古代中国の故事からできている言葉だ。
宇宙世紀の人なら『いや、天(コロニー)は落ちる』と言うだろうがここは異世界。
コロニーどころか人工衛星すらない。
だが、まぁ、その、なんだ…
天って落ちてくるんだな…。
「ねぇシラヌイさん。今日はお母様はどうしたの?」
「えーと…その…」
家出中ですっ! とは言えないよな…
「えーとですね…その…お母様は今日忙しいらしいので、お母様の知り合いに預けられてるんですよ、はい」
センマリカがボーデンに視線をやる。
「あら、ボーデンちゃん。元気だったかしら?」
「………………」
ボーデンはなんか、嫌な奴に会ったって顔だ。
「何の用だセンマリカ」
「あらやだ怖いわ〜。同じベッドで寝た仲じゃないの〜」
マジかよボーデン…。レズだったのか…
「ああ!同じベッドで寝たなぁ!学院の二段ベッドで!」
「あら〜。ネタばらしが早いわよ〜」
「そのネタはガキには通じんだろうが」
僕は通じるけどね。
「ところでシラヌイさん」
「なんですかセンマリカさん?」
「貴方。そんなに話せましたっけ?」
………………ヤバい。
「先ほどから受け答えが流暢ですね。
まるで、そう。まるで他者が乗り移ったか、もしくは」
センマリカさんは何故か僕の耳に口を近づけた。
「前世でも思い出したかのようですね」
「!?」
思わず椅子から降りて構えてしまった。
無意識に氷のナイフを握っていた。
「あらあら、そう怯えなくてもいいですわ。
貴方のお母様から聞いておりますもの」
なに?
「息子が前世の記憶を思い出して家出したから様子を見てきてくれ、とシェルム先生に頼まれましたの」
バラしたのか、お母様は。
俺の秘密をっ…!?
「安心していいですよ。前世の記憶があっても貴方は貴方なのでしょう?」
「…………
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