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空に星が輝く様に
427部分:第三十二話 誠意その十

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第三十二話 誠意その十

「斉宮の」
「それは」
「その時は本気だった」
 椎名は言葉を続けてきた。
「そうね」
「ああ、あの時はさ」
 陽太郎もそれを認める。それは間違いのない事実だった。
 しかしだった。椎名はその彼に言うのであった。さらに。
「今は」
「今は」
「もう雪解けの頃」
 こう話す椎名だった。
「そうね」
「それは」
「本気で嫌だったら」
 どうしているか。椎名は話すのだった。
「どうしている」
「それはもう御前の言うことでも」
「ほら、言った」
 椎名は陽太郎の今のそれを指摘したのだった。
「今さっき」
「言ったって」
「そう、言った」
 まさにそうだというのである。
「だから。今は」
「・・・・・・わかったよ」
 陽太郎は渋々といった顔で頷いたのだった。そしてだった。
 そのうえでだ。椎名に対して告げた。
「じゃあ」
「そう。聞いて」
 また言う椎名だった。
「この娘達の言葉」
「わかったよ」
 陽太郎は椎名の言葉にはっきりと頷いた。
「それじゃあな」
「それで」
 椎名は陽太郎の言葉を確かめてからだ。そのうえで今度は月美に顔を向けた。
 そのうえでだ。彼女に対しても言うのだった。
「つきぴーも」
「私も」
「そう、つきぴーはどうするの?」
 彼女の顔を見上げての問いだった。
「この娘達の話は」
「私は」
「考えて」
 普段の月美に対する言葉とはだ。明らかに違っていた。
 強かった。硬質の強さがそこにあった。そしてなのだった。
「つきぴー自身の考えで」
「私自身の」
「そう、斉宮のことも」
 まずは陽太郎のことだった。
「私のことも抜きにして」
「二人のことを抜きにして」
「それで自分で考えて」
「そうしてなのね」
「それで考えて」
 また言う椎名だった。
「聞くか。聞かないか」
「それを」
「そう、それを」
 こう話してだった。月美に判断を促す。そして月美は。
 思い詰める顔になっていた。しかしやがて意を決した顔になってだ。椎名に対して静かな、だが確かな声でこう告げたのであった。
「わかったわ」
「どうするの?」
「聞く」
 一言であった。
「私。っこの人達のお話を」
「聞くのね」
「聞かないといけない」
 だからだというのであった。
「そう思うから」
「そう。わかったわ」
 今回ばかりはだ。椎名も強い顔で頷いた。

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