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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
序章 新朝始歌
第二十七話 豪王末路
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あったかのように一瞬にして身を起こし、獅子の喉首に逆に噛み付いてやった。全身の力を全て咬筋力に集中させ、喉首を一気に食い千切る。獅子は狼狽するような弱々しい吠え声を漏らしながら横倒しに倒れた。ははは、ざまあ見よ!さて、次はお主の番じゃぞ、ルシタニア王!首を洗って待っておれ!
と、その時、左足に激痛が弾けた。見ると、獅子が予の左足のふくらはぎに噛み付いていた。馬鹿な!獅子は倒したはずであろう!が、更に右肩を他の獅子が噛み付いてきおった。そのときようやく悟った。獅子は一頭ではなかったのだ。先ほど倒した獅子なら相変わらずそのまま横たわっていたが、今二匹の獅子が予の体に噛みつき咀嚼しており、更にもう二匹が何処から喰おうかと予の周りをゆっくりと回っていた。そう言えば、先程の聖職者も獅子が一匹だけだとは一言も言っていなかった。最初に獅子を一匹だけ放ち、時間差で残りをまとめて解き放ったのだろう。そうして、一匹倒して安堵している予を襲わせるつもりだったのだ。全くろくでもないことを考えつく!希望を見せておいて、即座に絶望の底に叩き込むとはな!
ふん、豪毅の国王と呼ばれた予もどうやらこれで最期か。タハミーネ、我が王妃よ。そなたにもう一度会いたかったぞ。結局そなたは予に心を開くことはなかった。赤子が死産と判ったときは、まだ失いたくないと、もう少し時間をかければきっとと思っていたが、時間の無駄でしかなかったか。だが、予にはそなただけであった。そなただけしか欲しくはなかった。本来ならば幾人もの側室を抱き、孕ませ、子を成すことが国王としての責務であったろうが、予はそれをしなかった。そうしないことが、そなたに見せられる愛の証だと思っていたが、やはり通じるはずもなかったな。予にはそうさせることが出来ずじまいであったが、そなたが自分の子と思える者をその手に抱ける日がいつか来ると良いな。
「さらばだ、タハ―」
◇◇
パルス暦320年12月20日、ペシャワール城塞に諜者からの知らせが届いた。
先日、アンドラゴラス三世の処刑が行われたと。
そして、明くる年321年1月1日に、ルシタニア皇帝インノケンティウス七世と前パルス王国王妃タハミーネとの華燭の典が執り行われると。
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