06.そうだ、刑務所に逝こう。
第2回
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
所々が痛む躰を起こしてみると、其処は見た事も無い場所。
下にはコンクリートの地面が、周りには海が広がっている。
「って、私も巻き込まれたし」
執務室に逃げ込んで、直に外套を羽織り、帽子を被り、手袋を嵌めて、窓から跳び出そうとして居たら、急に視界が暗くなり、此処に居たと言う訳だ。
というか、本当に此処は何処だ。
「って、あれ。誰か居る……彼奴誰だ?」
「私に聞いても分かる訳無いじゃん」
「もしかして、ヤバイ奴じゃない!?」
「取り敢えず、聖月に任せるか?」
「でも来ねぇじゃん?」
「その間に襲ってきたら?」
「そんな時はこの僕にお任せあれ!! だよ?」
うん、どうしよう。私不審者じゃん。何故私がこんな目に。
やって来たのは、恐らくこの、多分刑務所の囚人七人。如何やら、吸血鬼も混じっていそうな感じがする。四人ほど。
「あ、おまえらぁああ!!」
「あれ、聖月じゃん!!」
「ナイスタイミング!」
「えー? 僕の活躍は〜?」
「夢ちゃんと大ちゃんも一緒だー!!」
その奥から看守らしき人が三人やって来る。これで囚人と看守合わせ、計十名。
「で、どうした?」男看守が不機嫌そうな顔で問う。まぁ、囚人が脱獄して居るであろう状況なのだから。
「いや、見れば分かるだろ」黒髪の囚人が言う。これまた不機嫌そうな顔で。
「えぇ? ……って、あ」髪を高い位置で二つに束ねた女看守が言う。この人もまた不機嫌そうな顔で。
「貴女、誰?」栗色の髪が綺麗な女看守が言う。リーダー格な雰囲気が滲み出ているのだが。
「黒華琴葉」
誰? と聞かれたら名前を答えておけば済むだろう。
「貴女は人間?」
「人間」
質問は続く。
「貴女、何処から来たの」
「上司の友人に因って此処に来た。元居た場所は良く覚えていない」
そう言えば、K猫の拠点って何処にあるんだ。古株の自分でも分からない。
「怪しいわね……その上司と、ご友人って?」
数秒迷った後、朝の仕返しだからと割り切って話す。「上司がフラン・レミナス。友人はノア・スカーレットって言ってたかな………」
「え、アンタ、フランさんとノアさん知ってんのか!!?」
黒髪の囚人が目を丸くして問う。………そう言えば、レンに似ている気がする。
「知ってると言っても、ノアさんと出会ったのは今日の朝、此処に来る前に一度だけ。フランさんとは、何年間も一緒に居る」
朝の事件の事は、後で記憶から抹消しておく。
「で、その二人を知ってるって事は、君は吸血鬼だね?」
「吸血鬼の存在まで知っているのね………怪しいけど、ノアさんの友人ならどうしようも無いわ。嘘をついていなければだけど」
否、待て待て待て。何時から友人になった。服を整えて
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ