2. 喫煙
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昼飯を食い終わった俺が、時々タバコを吸いながら、のんびりと戦艦のやつの主砲の整備を行っていた、昼下がりのことだ。
「あ! あの時の」
どこかで聞いた覚えのある声が聞こえた。声がしたほうを向くと、先日あの居酒屋で見かけた、あのタバコが苦手な小僧が、ちょっと離れたところからこっちを指さしてやがった。真っ白な水着に運貨筒を背負ってやがる。意外にも着ている水着は女物で、そいつが女だということに、この時初めて気づいた。
「おお、この前の小僧か」
「小僧じゃなくてまるゆですっ」
俺の失礼なセリフにぷんすかとかわいく抗議をしながら、その小僧……まるゆはこっちにとことこ歩いてきやがる。俺は咥えていたタバコの火を足元の灰皿で消し、そこに捨てた。
煙が消えたのと同時に、まるゆが満面の笑みで俺のそばに到着。運貨筒といえばけっこうな重さがあるし、中に資材を積み込めば、それこそかなりの重量だ。それを軽々と持ち運ぶあたり、こいつもこんななりをしてるが、バケモノと戦える艦娘なんだなぁと妙に関心する。
「こんにちは! 整備員さんだったんですね!」
「おう。お前も小僧じゃなくて艦娘だったんだな」
「陸軍からの出向ですけどね。木曾さんにいろいろと教えてもらってるところですけど」
「木曾? 一緒にいたあいつか?」
「はいっ」
そう言ってまるゆは屈託なく笑う。見てるこっちも笑っちまうほど、いい笑顔だ。木曾とかいうあの緑色の髪の女を信頼してるのが、よく分かる。
そうしてしばらく、まるゆと話をしていたところ……
「おーいまるゆー?」
まるゆの背後の方から、こいつを呼ぶ声が聞こえた。不思議と声の主の姿をみずとも、それがあの女……木曾の声だとわかったのは、あの日あいつと一悶着あったからだと思いたい。
「あ、木曾さーん!」
「そろそろしゅつげ……おお」
振り返ったまるゆが木曾に呼びかけ、俺に気付いた木曾もこっちに歩いてやってきた。改めてその姿を見たが、やはり白のセーラー服の上に羽織る黒の軍服にサーベル……顔には眼帯……スカートを履いてはいるが、どこからどう見ても女の服装じゃねぇ……ヘソを出してる腹は、あんなに肌がキレイだっつーのに……。
「よお。お前はこの前の」
「ああ。小僧とも話してたんだが、お前ら艦娘なんだな」
「小僧っ!? 私女の子なのにっ!?」
「ここにいる女って言ったら、大半は艦娘だろ?」
「確かに」
「なぁまるゆ。そろそろ出撃するぞ」
「はい木曾さん」
俺に声をかけたあと、そんな会話を交わす二人。まるゆに向ける木曾の表情はとても柔らかいが、目の奥はとても鋭い。その様子が、これから戦闘に向かうということを俺に伝えていた。
そんな二人の、微笑ましい様子を眺めたあと、俺
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