1. 嫌煙
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の耳に飛び込んできたのは、艦娘と思われる女の、そんな賑やかな声。声のした方を見たら、お揃いに見える赤い服を着たえらく似た顔の三人の女が、うまそうな料理を囲んで、テーブル席に座ってキャワキャワと騒いでいた。……いや、一人の物静かそうなやつを、他の二人が賑やかに茶化してる感じだ。
「キソさん! それでね? その時にイクさんが……」
「アイツらしいな。お前はどうだ? 頑張ってるか?」
「もちろんです!」
反対側は仕切られた座敷部屋になってるようだ。そこではえらく幼く見える、白いポンチョを着た小僧が一人と、黒い軍服をマントみたいに羽織ってやがる、男みたいな女がいやがる。眼帯なんかをしてやがる緑の髪のその女は、なんか他のやつとはちょっと雰囲気が違って見えた。テーブルの上にはこれまたうまそうな料理と日本酒の徳利……大皿に山盛りにされたポテチと牛乳は、あの小僧のものだろうか。
ひとしきり店内を見回した後、俺はカウンター席に腰掛けた。カウンターには提督さんと、割烹着を着た和風美人の女が一人。女の方は艦娘だろう。しかしまさか提督さんがホントに店にいるとは思わなかった……
「いらっしゃい」
「提督さんがこの店にいるって聞いたんで来たんですけど……何やってるんですか」
「いや、俺は料理が趣味なんだが……そこの鳳翔にいろいろと教わろうと思ってさ」
提督さんとそんな会話を交わす。割烹着の女に目をやると、そいつは俺にニコッと微笑んでくれた。
「注文を聞こうか」
「何か適当に晩ごはんになるものを。あとビールください」
「わかった」
提督さんに注文をした後、カウンター席を見回した。手元にガラス製の灰皿が置いてあるのを確認し、ここが禁煙席でないことに安堵する。その灰皿を手元に持ってきた。
「はいどうぞ」
タイミングよく提督さんが、瓶ビールとコップを置いてくれる。俺はポケットからタバコのソフトケースを取り出し、その上部分をトントンと叩いてタバコを一本取り出すと、それを口に咥えて火をつけた。
「控えてくれないか」
俺が灰皿に手を伸ばして手元に引き寄せたときだ。静かな声が店内に響いた。はじめその声が、あの、黒服をマントのように羽織った異様な女の声だとは気付かなかった。
「あ? 俺か?」
「ああ。すまない。今は控えてくれ」
声がしたほうを向くと、さっきのあの異様な女が、眼帯をした顔をこっちに向けている。睨んでいるというわけではないが、その眼差しには妙な威圧感があった。
「ちょっと木曾さん……」
一緒にいる小僧が、そういってその女のことを制止していたが……時々、ケホッと小さく咳き込んでいることに気付いた。その小僧どもは、どうやらタバコの煙が苦手らしい。
その一方で、異様な女の
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