06.そうだ、刑務所に逝こう。
第1回
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ランを呼びに来たら、実に美味しそうな血の匂いがしたからね」
「嗚呼、確かに琴葉の血は美味しい。涙だけでも躰が痺れてくる程良い血を持った女性だよ」
「へぇ……じゃあ、一緒に来て貰おうかな」
「否、彼女は私のモノだ。君には渡さない」
「拒否権が在るとでも?」
「嗚呼。在るさ。琴葉は私のモノ。君には渡さない」
傍観者達は呆れて部屋を出て行く。
「じゃあこうしよう。一週間交代だ」
「駄目だ。君の所に居ては、琴葉の血が不味くなる」
「そんな事は無い。それより、フランの所に居ると、彼女の血が無くなる」
「君じゃないから、そんな事はしないよ。琴葉は私が大切にする」
「否、僕が」
「否、私が」
「否、僕が」
「「琴葉はどっちが良い」」
火花を散らしながら睨みあっていた吸血鬼二人が、期待した目で琴葉を見る。が。
「どちらも嫌です」
琴葉はスッパリと言い切った。こんな二人と一緒に居るなんて、頭が可笑しくなる、と思ったからだ。
「では、失礼しました」
そそくさと部屋から出て行こうとする琴葉だったが―――
「「逃がさないよ?」」
◇ ◆ ◇
「で、刑務所に行く件何だけど〜」
何故かテンションが高いフラン。葉月と紗耶香と凛は、涙と宙と共に逃げ込んだ、琴葉の執務室から呼び戻され、首領室に居た。
「この人が付き添いね」
「ノア・スカーレットだ。吸血鬼を統べる王を担っている」
「「何か凄い人来た」」
自信満々の笑みを浮かべて自己紹介するノア。言葉のわりに、ふわりとした空気が、敵対心が無い事を表していた。
「で、あと琴葉君も連れて行って貰うんだけど……琴葉君居ないね」
「姐さんなら逃げましたよ」
「まぁ、別に私の能力に不可能は無いからね。大丈夫大丈夫」
フランの黒い笑みを見ると、背筋が凍った様な感覚がするな、と考えつつ、葉月は背筋を伸ばす。
「で、先ず、空間を超えた向こうにその刑務所はあるから、『能力』の存在は無い。それと、時間が少しズレている。まぁ、それは気力で頑張り給え。向こうでは、最初だけノア君と共に居れば、後から自由に行動出来るようになるだろうから、自由行動になるまで少し待っていてね? 向こうに居る時間は一日だけ。それは白猫の首領殿と約束してるから、特別な事が無い限り、しっかり一日で帰ってきてね。まぁ、私は此方からずっと見守っているから、安心していいよ。まぁ、説明はそれくらい。自分とそっくりな人が向こうにもいるかもしれないけど、それはドッペルゲンガーじゃないから安心してね。三日で死ぬ事は恐らくないから!! 後、絶対に死なない事。それじゃあ行ってらっしゃい」
「「え?」」
其処で、葉月達の思考は途切れた。
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