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ラジェンドラ戦記〜シンドゥラの横着者、パルスを救わんとす
第三部 原作変容
序章 新朝始歌
第二十六話 夫妻愛憎
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以上ではないさ」

尤もそこの御仁はどうか判らぬが。と言いたげな視線を向けてきたが、俺はそれを華麗にスルーした。

「コホン、話を続けましょう。そのような血の種類は親から子へと引き継がれますが、両親の組み合わせによっては決してなり得ない種類というのもあるのです。そしてその観点から国王夫妻と私たち三人とを比べた場合…」

「国王夫妻からは決して生まれるはずのない種類の血だったという訳だ」

と俺が結論を引き取った。だが何人かは納得してそうにない顔をしている。

「でも殿下ー、それじゃあどうしてこの三人こんなに御夫妻に似てる訳ー?幾らなんでも似すぎでしょー?」

その何人かが仰る通りとばかりに頷く。それを見てラクシュはいいことを言ったとばかりに得意顔だ。

「そりゃあ、赤ん坊をたくさん一度に集めた上で、宮廷画家だかに顔を見せてこの顔つきなら似た感じになるだろうと判定させたんだろうさ。頭が沸いてるんじゃ無い限り、適当に連れてきた子供で誤魔化せるなんて思わんだろうしな」

さいとうちほ作の『花冠のマドンナ』と言う少女まんがで、レオナルドダヴィンチがヒロインが赤ん坊だった頃の顔を元に成人女性にまで成長した姿を描き、ヒロインが後にその絵を見て驚くというくだりがあった。ダヴィンチだから出来たことかもしれないが、宮廷画家辺りならその真似事ぐらいは出来たのではないだろうか。まあ、ナルサスには無理な芸当だろうけど。と言いたげな視線を先程のお返しにナルサスに向けてやった。お、ムッとしてる。

「ではこの三人が御夫妻の血を引いていないと言うなら娘御は一体何処へ?」

「さっきは口を閉ざしていると言ったけどな。正確には言うべき言葉を持っていなかったのさ。実際に産まれたのは女の子じゃなくて男の子で、しかも死産だったからな」

「死産…」

絶句したように誰かがそう呟いた。

「でも、何故陛下は王妃にそれを言わなかったのだ?死産だったとしても代わりの子を用意すれば王妃の政治的立場はそれで守れただろうに?」

キシュワード…、こいつも朴念仁だな。ナスリーンが可哀想に思えてくるわ。

「いや、判る気がする。もう子供が産めない身体になった上、死産だなんて判った日には母親としては死にたくなるやもしれぬ。アンドラゴラス王はそれを防ぎたかったのじゃな?」

この中で唯一の出産経験者、シンリァンの言葉だけに重みがあるな。

「ああ、そう言うことだな。アンドラゴラスは何が何でもタハミーネを失いたくなかったんだ。娘を奪われたという憎しみを糧にしてならば、タハミーネはきっと生き続けてくれると考えた。憎まれてでも、生きて、欲しかったんだ」

アンドラゴラスの気持ちは判るが、でもそれってタハミーネの気持ちを無視してるよな。そして、一体どれだ
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