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レーヴァティン
第六十六話 自分達の船その二

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「当然だな」
「むしろそれだけで済んだ」
「一万両もかからなかったからか」
「いいかと」
「あれだけの船と船乗り達を手に入れてか」
「まだよかったのでは、それにお金は」
 良太はその思った以上の出費になったそれのことも話した。
「また魔物達を倒せば手に入りますので」
「取り戻せるな」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「特に惜しいと思うこともないのでは」
「惜しいとは思っていないがな」
「それでも思った以上の出費にですか」
「考えただけだ」 
 それだけだったというのだ。
「今の俺はな」
「そうでしたか」
「それでだが」
 英雄はさらに話した。
「魔物を倒せばだな」
「はい、また稼げます」
「では湖で巨人が出て来ればだな」
「その時はです」
「簡単に取り戻せるか」
「そうなるかと」
 船そして船乗り達の分はというのだ。
「容易に」
「巨人は水の中でも出る」
 幸正は生牡蠣を刺身の如く刺身醤油で食べつつ話した。
「元々は海巨人というが」
「この島には海がないからな」
「淡水しかないからな」
 海水即ち天然の塩水がないというのだ。
「だからだ」
「海巨人といってもか」
「海にはいない、強いて言うなら水巨人だ」
 こう言うべきだというのだ。
「その巨人が出る」
「その巨人達を倒すとだな」
「かなりの銭が手に入る」
 他の巨人達を倒した時と同じくだ、そうしたものが得られるというのだ。
「だからだ」
「船で出てもだな」
「元を取り返せる可能性もある」
 船と船乗りの九千両はというのだ。
「とにかく今はだ」
「九千両のことはだな」
「特に気にしないのは正解だ」
 英雄のこの考えはというのだ。
「金は使うべき時に使うべき対象に使う」
「それがいいな」
「無駄金は使わないに限るが」
「今はいいな」
「我はそう思う」
 牡蠣を山葵醤油で食べつつ言う、淡水生の牡蠣であるがその味は海水生のものと全く変わることがない。実に美味い。
「そうな」
「そうか、ではな」
「今はだな」
「準備が整ったならな」
 その時はというのだ。
「出港だ」
「目指す先は何処だ」
「決まっている」
 そこはというと。
「八丈島だ」
「そこに行くか」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「十人目を仲間にする」
「そうするな」
「俺達の道は様々だが」
 進路は多いというのだ、この島は広く何処にでも行くことが出来るというのだ。英雄はこのことはわかっていた。
 だがそれでもとだ、英雄はさらに言った。
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