第一部 少年たち
第四章
魔法
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謹慎処分を与えられていた期間は、外部にでることはなくただひたすらにメディカルチェックを繰り返していた。同じく謹慎処分を受けていたルイは怪我の回復が早く、意識を取り戻した次の日には自室に戻っていた。あの騒動の後、ルイとは顔を合わせていない。やっと今日で謹慎期間も終わり張り切って職務を全うできるというのに、自室に向かう足取りが重い。きっとルイに会うのが気まずいのであろう。やや下向きでエレベーターに乗ろうとすると人とぶつかってしまう。その人は急いでいたのか急に降りようとするので反応できなかった。ぶつかった反動でお互い半歩下がってしまう。
「すみません、大丈夫ですか? ……あっ」
顔を上げると銀髪の美人の人が立っていた。赤色のベレー帽を被っていた。その整った容姿につい見とれそうになる。視線を少し下に向けると今度は服の下から胸がチラッと見える。
「あああのすみません」
いろいろな意味合いも込めて謝罪する。
「いえいえ、こちらこそすみません。お怪我はないですか? ……あ」
銀髪の人と目が合うと笑顔になられる。あっ、素敵かもなんて思ってしまう。
「あなたはたしか、リンドウさんの」
リンドウさん? って、あの有名な人がどうしたのだろう。
銀髪の人は顔をじっと見る。そして少し悩んだ表情をする。
「余計なことにすることになっちゃいますけど、やって後悔しましょう」
なにやら独り言をつぶやくともう一度こっちを見る。
「えーとお名前は作楽君でしたか?」
「はい、作楽サキです」
「では、サキ君は今からご予定ありますか?」
「いえ、特にこれから予定はないです」
なぜ予定を聞かれたのか、名前を知っているのか。わからないことだらけで気になることばかりだが聞かれたことに素直に返事してしまう。
「よし! なら決まりですね。どうお誘いしましょうか……。あ! そうですね、いまから私とデートしませんか」
無邪気な笑みを浮かべてデートのお誘いをされた。勢いに負けたのか。素直に嬉しかったのかわからないがそのお誘いを受けてしまう。
はいと返事をすると彼女は、ヒバリさんのところで申請をしていきますのでエントランスで待っていてください。すぐに行きます。と言ってかけていった。
エントランスですこし待つと銀髪の人大きなキャリーバックを持って現れた。
「お待たせしました。では行きましょうか」
「あのすみません。俺……ぼくも荷物要りますか?」
「ああ、そうですね。長期遠征になりますので着替えなど用意してきてください。すみません。言っていませんでしたね」
「わかりました。取り敢えず用意してきます」
自室に向かって早足で向かった。部屋の扉を開けて入る。一応ただいまと言ってみるが返事はない。リビング(共有スペース)を覗くがルイはいなかった。ルイの部屋をノ
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