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3章 穏やかな日々
22話 将来の旦那さん?Part2
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全速力でダッシュしながら、改めてツカサは後悔した。

 …索敵スキルを上げておけばよかった、と。索敵スキルの派生で、足跡を追跡できるものがあり、熟練度が上がるほど、時間がたった足跡を追うことができる。


 この間の灼熱地獄のダンジョンで、索敵スキルの熟練度が低いことを嘆いたことを思い出し、今度こそ上げようと心に決める。


 そんなことを考えながら、ツカサは教会周辺をひとまず一周探索することにした。一瞬にして移り変わる小屋や荷物の物陰にも目を配りながら走るが、一向に見つかる気配はない。何しろ始まりの街はアインクラッド最大の街だ。他の攻略組よりもこの街に来ている自信はあるが、さすがに街全体のすべてを知っているわけではない。


 が、その時だった。微かだが、まだ幼さの残る高い声と、男の声。高速で動かしていた脚に急ブレーキをかける。そして、足音を忍ばせ、物陰に隠れながら、その声が聞こえるほうに近寄った。

「おい、暴れんなクソガキ!」
「っ、放してよ…!」

 金髪に、耳に大量のピアスを付けた、いかにもチャラそうな男が、ツインテールの少女を地面に押さえつけ、脇には髭面のガタイのいい中年の男が立っている。両方とも軍の鎧に身を包んでいた。



 少女はキッと、2人の男をにらみつけた。

「いったい私をどうするつもり…?」

 すると、髭面の男が少女の顔の横に座り込み、気味の悪い笑みを浮かべた。



「そりゃ、決まってんだろ。売るんだよ」


 少女の顔から、血の気が引く。男はさらに嬉しそうな笑みを浮かべた。


「お前みたいなガキが欲しいっていうクライアントがいてよ、俺にはその趣味が理解できんが、大量の金が報酬なんだよ。悪く思うなよ」


 その時、ペッと、少女が男の顔に唾を吐いた。それは山なりに飛び、男の頬に直撃する。男の顔に青筋が浮かび、男は足で少女の頭を踏み潰した。ガッ!という音がして、少女の顔が苦痛でゆがんだ。


 
 そこでツカサは見ていられなくなり、背から槍を引き抜くと、2人の男に向かって突進した。


 ここは圏内だ。そのため、HPが減らない代わりに、こちらがオレンジになることもない。が、死ぬ心配はなくても、攻撃を受けるというのは純粋な恐怖を作り出す。


「ひぃぃぃ!」
「ぐはっ!」


 あっさりと2人の体はツカサの一薙ぎによって、派手なライトエフェクトを発生させながら吹っ飛んだ。


 ピアスの男はあっけなく意識を失ったようだった。ツカサはゆっくりとブーツを踏み鳴らし、一歩一歩、髭面の男に近づく。恐怖のため、腰が抜けているのか、立ち上がることもできず、後ずさりをする。が、後ろは壁だ。
 

「な、なんだてめぇ!」


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