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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
第2章 鬼神の目にも涙編
Story 17 尻尾の掴み合い
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「私ね……嬉しかったの。6年前、エルフマンとリサーナと一緒に妖精の尻尾(フェアリーテイル)に加入して、私だけギルドに馴染めないでいた時、真っ先に声をかけてくれたのがイブキだったの。」



『オイ、待てよ。』
『!』
『弟と妹置いてドコ行く気だよ?』

幼いエルフマンとリサーナをギルドに残し、そのままマグノリアから去ろうとしたミラに生意気に声をかけてきたのは、紫と赤のオッドアイが特徴的なミラより4つも年下の男、イブキだった。

『……何の用だ。』
『ギルドの先輩として、そして同じ魔法を使う先輩として、てめェにちょっとアドバイスしてやろうと思ってよ。』
『同じ、魔法……?』
『よーく見てろよ!よっ、と……!』
『!』

そう言うと、イブキは一瞬にして自身の姿を黒くて硬い皮膚に覆われている緩く弧を描いた2本の角を額から生やした醜い鬼に変えた。
それを見たミラは目を丸くしたまま言葉を失ってしまった。

『驚いただろ?』
『お前…どこで、それを……?』
『あー……ンなことはどーでもいいだろ。俺もてめェと同じ接収(テイクオーバー)を使うんだ。まっ、俺の場合体に宿しているのは鬼の力だけどな。』
『鬼、だと……?』

紫と赤のオッドアイはそのままで、イブキは鋭く尖った牙が生え揃った口角を得意げに上げる。

『悪魔なんかよりも……醜くて恐ろしくて、憎々しくて悍ましい化け物だ。』

どうしてイブキが自嘲気味に言ったのか……。当時のミラにはまだ理解することが出来なかった。

『てめェのその腕なんか、まだかわいいもんだろーが。』
『………。』

ミラは自分の異形な右腕に視線を落とす。
何度見ても、その腕は見てるだけで吐き気を覚える。だが、それが自分の腕なのだと気づくと悔しくて悔しくて唇を噛み締めた。

『戸惑うのも不安になるのもわかる。でもよォ、もうてめェはその悪魔の力を自分の体に宿して、接収(テイクオーバー)悪魔の魂(サタンソウル)っていう立派な“魔法”として使いこなしていかなきゃならねェんだ。』

接収(テイクオーバー)を解きながらイブキは言う。

『その“魔法”で、大切なものを守る為によ。』
『!』

その言葉にミラはハッとして顔を上げると、イブキは夕日を背にして笑っていた。
瞬きを何度か繰り返し、ミラが口を開こうとしたその時だった。

『ミラ姉ーーーっ!』
『姉ちゃーーーんっ!』
『!』
『やっと来たか……。』

リサーナとエルフマンがこちらに向かって手を振りながら駆けて来て、2人を見たイブキがやれやれといった感じでため息を吐いた。

『ど、どうしたんだ……?』
『ミラ姉、見て見てー!』
『姉ちゃん、きっと驚くよ。』
『『それっ!!』』


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