00.K猫と白猫
第二章
Phase.06
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「琴葉さぁぁあん!」青ざめた顔でレンが手を伸ばすが、琴葉はそれを気にせず、地面に向かって物凄いスピードで落下していく。琴葉さんはこのくらいじゃ死ぬ訳無いよね、と割り切ったレンは、宙と共に拠点の入り口まで全力で走る。
途中、窓の外が赤く染まる事が在った。きっと、現在白猫の部隊とK猫の部隊が激突している辺りで爆発でもあったのだろう。
階段を駆け下りるのも時間の無駄だと感じ、二人揃って階段から飛び降りる。琴葉に鍛え上げられた二人にとって、此れは未だ余裕の範囲だ。
階段を飛び降り、踊り場で助走を付け、また飛び降りると言う流れを数十回程繰り返すと、漸く一階に辿り着く。外では、大勢の人の声が飛び交っている。
「あ、お姉ちゃん! 其れにレン! 遅いよ」一番入り口に近い所に居た輝は、レンと宙を見つけ、直に声を掛ける。
「琴葉! 二人が到着したよ。そっちの様子は?」
輝はトランシーバーをレンと宙に投げつつ、自分が持っている物で琴葉に連絡をする。すると、向こうからノイズ混じりの琴葉の声が返ってくる。
『犠牲者は未だ出てないけど、怪我人は結構出てる! そいつらは一応離脱させた。でも、取り敢えず、幹部の姿は確認した』
「で、幹部って誰だったの」
輝が問いかけるが、其れに返答は無かった。代わりに、一つの指令が返って来る。
『若しかすると前衛貫通されるから、レンは能力発動の準備しといて! 輝と宙は何があっても前衛には出るなよ!』
この世界には「能力」と言うものが存在する。そして、その能力を持った者を「能力者」と呼んでいる。
能力には様々な種類がある。例えば、レンは「能力消去」。能力を、能力者から永遠に消す事ができる。涙は「重力操作」。十分以内に自分の視界に映したモノの重力を操る事ができる。琴葉は「能力操作」。一度見て、仕組みを理解した能力を複製したり、操る事が出来る。
琴葉の近くの構成員だと、レン、涙、アリサ、ユリア、紫苑、輝が能力者だ。
「あ、ちょっ! 琴葉?」
一方的に通信を切られ、不機嫌そうな表情を浮かべる輝。レンが琴葉に繋げようとすると、案の定連絡は繋がった。
「琴葉さん! 敵幹部って……」レンが咄嗟に言うと、トランシーバーの向こうから、『一人ッ! 一人だけ!』と、焦った声が返ってくる。
『……くそっ、【重力操作】!』
「涙さん!?」
―――「重力操作」は涙さんの能力。なのに、何故琴葉が其れを遣っているのか。
「レン君は琴葉さんの能力見るの、初めてだよね?」宙が、不思議そうに顔を顰めているレンの顔を覗き込んで言う。レンがそれに首を縦に振って答えると、宙は続けた。「琴葉さんは能力を複製する事も出来るから、大体どんな能力でも遣えるんだよ。今頃、涙が怒ってそ」
苦笑を浮かべながら言った宙。
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