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「麻酔打って作業ってどうなんですか?」
するとテムさんがピタリと手を止めた。
「そのせいかっ…!」
どう考えてもソレだろうが。
「はいはい。後はタバラ軍曹に引き継ぐので医務室行きましょうね。
貴方にこんな所で体壊される訳にはいかないんですから」
テムさんのノーマルスーツのメット部分に指を引っ掻けて医務室へ。
「アベル君。もう少し優しく運んでくれないかね?」
「数少ない医療スタッフの制止を押しきってデッキまで行った人へのお仕置きです」
「なぜそれを…」
予想くらいつくっつーの。
医務室へ向かう通路、ある地点を境に臭いが強くなる。
薬品の臭い。
それと、鉄の臭い。
無重力故に、医務室周辺は地獄絵図だった。
血と包帯が浮いている。
怪我人が天井やら壁やらに寄り添うようにしており、ベッドから呻き声が上がる。
ふと端の方に袋が見えた。
人一人くらいなら入りそうな袋が幾つも幾つも…
見なかった、事にしよう。
「酷い物ですね…。これが戦争…ですか」
「『前線の後方』という物だよ。最前線と違って味方の死しかない、地獄さ。
アベル君。よく、目に焼き付けておくんだ」
「そう…ですね」
これが現実なのだと、本物の戦争なんだと、改めて実感した。
ゲームやアニメじゃない、本物の…。
この世界は現実だが、戦争という物にあまり実感がなかった。
でも…。
「アムロには…見せない方がいいだろうな…」
追い詰めてしまうだろうから。
「よう…英雄。生きてたか」
そう声をかけられた。
振り向いた先には…
「ヴェルツ!」
「わり、ドジった」
苦笑いを浮かべる俺の親友が居た。
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