プロローグ
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門には、天皇家と同じ16弁の菊花紋が刻まれる。
三種の神器の一つ、八咫の鏡の裏側にはヘブライ語が記され、モーセが神にその名を問うた時の答「我は有て在る者なり」の文字があると言われる。
弥生式土器に似た器と火を囲み、予言者の準備が整うのを待つ一同。
「おお、シヨウ様のお出ましじゃ」
依り代や危険薬物によって神憑りになった巫女が下す天啓を信じ、占いによって集落の運命を決めていた、暗愚で暗黒な時代。
ローマ、中国では立法が行われ、城塞都市が立憲君主制によって統治され、ギリシャでは議会制民主主義が存在していた時代。
日本ではまだシャーマニズムによる予言を元に小さな集落が統治されていた。
「静まれ、シヨウ様が神を降ろして、口寄せで天啓を賜る」
過去の巫女で長老の一人、イチヨウが孫の代の巫女を連れて入場した。
目隠しもして、天啓を得られる大麻や阿片の系統の薬草を与え、祈祷、口寄せを開始させる。
「出雲の神々よ、我らの行く末をお導き下され」
イチヨウ婆様が芝居がかった声と動きで、神棚にひれ伏して願う。
神道、つまり天皇制が日本各地にまで行きわたる以前なので、白装束や赤い袴などは存在しない。
全員が貫頭衣のような、綿製品で染色もされていない貧しい身なりが普通。
藁で作った上着、雨具、紐、ロープ、草履。
お隣の国の大河ドラマだとか、ボリウッド映画の歴史物語のように、一般人までが煌びやかで色とりどりに染色されて、金糸銀糸で飾られ始めるのは、産業革命以降になる。
李氏朝鮮でも、人民の服装も鎧までも綿の無着色で、ブッダの衣装やバラモン僧の衣服がオレンジなるのも、数世紀後の話である。
染料が開発されていないので紺屋の白袴、綿に定着する染料も紺色程度しか発見されていない。
「主の命、大国主命に願い奉る……」
米や麦が伝来する以前、日本では栗の木を元にした集落を築き、縄文式土器で煮て食べられるように加工し、巨木信仰、シャーマニズムや精霊信仰がなされていた。
さらに天からの飛来物、隕石への信仰によって集落を統治していた場所も存在する。
冬守の地も隕石信仰、もしくは巨石の飛来物信仰によって統治されていた。
「願わくば我らに天啓を与えられたし、神々のお言葉を賜れますよう言上致し奉る」
現在から7千300年以上前、太陽が隠れるほどの災厄、九州南端にある海底火山、鬼界カルデラの噴火があった。
九州を焼き尽くし、山口県まで火砕流が到達、日本全土に火山灰を撒き散らし、栗の木を基にした文明と、土地と人を火山灰の下の地層に追いやった破局噴火。
天の岩戸に天照大神がお隠れになった、須佐之男命の暴虐とも、八岐大蛇とも称される伝説の大災害。
当時、大気圏を突
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