413部分:第三十一話 夜の港でその八
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第三十一話 夜の港でその八
「そうでしょ?それに行ってたのよね」
「えっ、それは」
「わかるわよ。それはね」
笑顔のまま話す母だった。
「お母さんだってそうだったし」
「お母さんもだったの」
「お父さんとね。そうしたデートをしてきたから」
「そうだったの」
「誰だってやってきたことよ」
母は娘にこうも話した。
「だから。わかったのよ」
「ううん、そういうことだったの」
「それでね」
母はまた娘に言ってきた。
「デートするのはいいけれど」
「それはいいの」
「ただ。時間はもう少し早くね」
娘に釘を刺すのを忘れなかった。それはであった。
「門限には五月蝿くないつもりだけれど」
「御免なさい」
「それだけは守って。じゃあ」
「じゃあ?」
「晩御飯食べなさい」
ここでも優しい言葉だった。
「お風呂もあるから」
「お風呂もなの」
「まさかと思うけれど入らないつもりだったの?」
「それは」
そこまで考えていなかっただけであった。デートのことで頭が一杯だったのだ。それでとてもそこまで考えられなかったのである。
「だから。どちらを先にするのかしら」
「じゃあ御飯を」
月美が選んだのはそちらだった。
「御願い」
「わかったわ。じゃあお風呂に入ったら寝なさい」
「ええ。それじゃあ」
月美はその日を幸せに終えた。陽太郎もそれは同じであり平和に終わったのだった。しかしだった。星子達は違っていた。
時間は少し遡る。夕方だった。
州脇達三人は星華の家に来た。無論星子の家でもある。そこに来たのだった。
その家に来てだ。まずは橋口が彼女の家を見て言うのだった。
「星華ちゃんの家ってね」
「そうよね。お店やってたんだ」
「それは知らなかったわ」
橋口の言葉に州脇と野上も頷く。今星子に連れられてその店の入り口から家に入ったのである。
「ええと、お家とか修理してるんだ」
「そういうお店なのね」
「はい、そうなんです」
その通りだと応える星子だった。三人を案内している。
「ただ。お姉も私も女の子ですから」
「ああ、お店を継ぐ人がいないのね」
「つまりは」
「そうなんです。それが悩みなんです」
星子は三人にこのことも話した。
「実は」
「星華ちゃんだったらいい相手見つかると思うけれどね」
「そうよね」
「誰かいい人が絶対にね」
「私もそう思います」
その言葉に頷く星子だった。
「お姉、とてもいいものを一杯持ってますから」
「私達もそう思うわ」
「星華ちゃんはね」
「本当にいい娘なのよ」
それは確かなのだった。店の入り口から家の中に入る。少し暗くなってきている家の中に階段が見える。二階へと続く階段だった。
それを見てだった。三人はまた
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