第百三十二話 事件の終演
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談に御座います。平に平にご容赦を」
リッテンハイム侯は土下座し、こめつきバッタのように頭を下げまくる。
「父上、夫も本心からその様な事を言ったわけではあるますまい、どうか許して頂けませんでしょうか?」
ジッと聞いていたクリスティーネ皇女が懇願する。
それを聞いた皇帝は考えた振りをしながら、諭すように話し始める。
「良いか、リッテンハイムは予の婿という立場を利用して、無理難題を起こしてきた、今回の決闘騒ぎも同じ事じゃ、クリスティーネ、多少の欲は良いじゃろうが、全てをほしがる欲は悪じゃ。そちの夫はその悪癖に染まってきておる。此処で仕置きをせねばサビーネの為にもならんのじゃ」
皇帝の言葉に渋い顔をする者も居れば、よく言ってくれましたという顔の者も居る、その姿は確り記録されて、渋い顔の者は潜在的な叛乱要素を持つ者として監視対象になったのである。
その言葉にクリスティーネ皇女も覚悟を決めたらしく、押し黙り皇帝の裁可を待った。
「リッテンハイム侯爵、この度の落ち度により向こう5年間の謹慎を命じる。尚その間のリッテンハイム侯爵家の差配はサビーネを当主代行とし、クリスティーネが後見致す事とする」
リッテンハイム侯にすれば思った以上の厳しい沙汰、クリスティーネ皇女にしてみれば、軽い沙汰で終わった事で、青翡翠の間にもホッとした空気が流れた。
そして、ヘルクスハイマー伯爵の番である。リッテンハイム侯ですら謹慎5年も受けたのであるから、死罪であるというのが、列席者の考えであった。
「ヘルクスハイマー伯爵、卿の決闘代理人が皇女殿下を害し奉ろうとした。最早言い逃れは叶わんぞ」
ヘルクスハイマーはルンプ司法尚書の声に震える。
「私も騙されていたのです」
「しかし、卿の悪行は知れ渡っている、今回の事とて卿がシャッハウゼン家に難癖を付けなければ済んだ事だ、自業自得と言えよう」
ヘルクスハイマーはガックリとする。
「裁きを言い渡す。ヘルクスハイマー伯爵は爵位と資産没収の上流刑、尚陛下と殿下の格別の思し召しにより夫人と息女はオーディンにて謹慎せよ」
崩れ落ちるヘルクスハイマー伯爵。
まさに因果応報であった。
ヘルクスハイマーの処罰で全ての事が済んだ。
その後、皇帝自らしばらくの間は皇太子を置かずに行く事が発せられ、それを聞いた者達は、次の皇位が誰になるかを噂するのであった。
リッテンハイム侯爵家のサビーネが脱落状態で、皇孫エルウィン・ヨーゼフ、皇女テレーゼ、ブラウンシュバイク公爵家のエリザベートの3人が有力候補として囁かれる事になった。
マルガレータ・フォン・ヘルクスハイマー親子は謹慎とは言え実際はノイエ・サンスーシでの謹慎でテレーゼやベーネミュンデ侯爵夫人との付き合いは相変わらず続く事になり
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