41部分:第四話 桜の木の下でその四
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第四話 桜の木の下でその四
「だからよ」
「何か適材適所なんだな」
「それ基本だから」
静かに言ってきた椎名だった。
「その意味ではいい顔触れになったわ」
「そうなのか。しかしな」
「しかし。どうしたの」
「いや、まだクラスがはじまったばかりだけれどな」
それでもだというのだ。
「それでもな」
「それでも。どうしたの」
「いや、息が合ってるよな」
言うのはこのことだった。
「それもかなりな」
「そうね」
椎名もその通りだというのだ。
「それはその通りね」
「上手くやっていけるか?」
陽太郎はこのことも言うのだった。
「このままな」
「いけるようにするのよ」
その彼にまた言ってきた椎名だった。
「そうするものよ」
「いけるようにするのか」
「ええ、そうよ」
またそうだというのである。
「努力してね」
「こういうのにも努力が必要なのか」
「人の関係は築いていくものだから」
抑揚のない言葉だがその通りだった。
「だから」
「だからか」
「ええ。だからよ」
椎名の言葉は続く。
「努力していくものよ」
「人付き合いって今まで自然になると思っていたけれどな」
陽太郎は実際に今までこう考えていたのだった。
「馬が合う奴とは自然に友達になるものだと思ってたけれどな」
「ある程度はそうよ」
「ある程度はか」
「けれどそれ以上になったら」
その場合はというのだ。
「そういうことが必要だから」
「だからなのか。成程な」
「ええ。だから斉宮も」
「俺もか」
「努力する時にはして」
そうしろというのだった。
「必要になった時は」
「ああ、わかったよ」
彼も椎名のその言葉に頷いた。
「それじゃあその時にはな」
「絶対にその時は来るから」
その落ち着いた目での言葉である。
「その時は努力して」
「ああ」
椎名の言葉に頷く陽太郎だった。
「その時はな」
「それで斉宮」
椎名の言葉は続く。
「図書委員だけれど」
「ああ、それか」
「頑張れば絶対に役に立つから」
「図書委員なんてそんな大事な仕事か?」
そうも思い言葉に出した。
「受付だけでいけるだろう?」
「そうだけれど何でも頑張れば絶対にいいことがあるから」
「だからか」
「そう。だから」
その感情の見られない声での言葉だった。
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