十七匹め
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ただひたすら、凍れと念じながら。
やがてスライムが突き刺された氷剣から凍っていく。
ジワジワとその身が動かなく恐怖を、果たして知性なきモンスターは感じるのだろうか?
最後には、スライムはその形を保ったまま氷像と化した。
「やったぜ!」
ぴょんぴょんと跳ねて喜びを顕わにするシラヌイにボーデンが一言。
「で、どうやって割るんだ?氷同士でやるのか?」
「………………………………」
跳ねるのをやめるシラヌイ。
そしてうつむきぶつぶつと呟きだした。
「ダイヤ……二酸化炭素…空気…環境汚染…異世界…濃度…非現実的……氷…硬度…低温…」
「あー…長考入ったなこいつ」
一分ほどしてシラヌイが顔を上げた。
「試しにやってみよう」
シラヌイは両手で空気を握り、振り上げた。
「ジェネレート!ウォータライトハンマー!」
そしてシラヌイよりも大きいハンマーが生成され…重力に従ってスライムに振り下ろされた。
途中衝撃で柄がポッキリ行った物の、スライムは見事に粉々となった。
「きもちー!」
「なんでハンマーが砕けてないんだよ…」
「氷って温度が低いほど硬くなるんだよ」
「へー」
「むぅ…そっちから聞いておいて…」
そこまで言うと、シラヌイがハンマーの柄を投げ捨てた。
「ボーデン、手、かして」
「?」
ボーデンが手を差し出すと、シラヌイがその手をぎゅっと握った。
「冷たっ!?」
「あぁ〜ボーデンの手あったかーい…」
「おまっ!こんなに冷えて…!凍傷になるぞ!」
「大丈夫大丈夫。ちゃんと直ぐに手放してるから」
「それであんなポイポイ捨ててたのか…
あの氷剣水晶製って騙して売れるレベルだったぞ」
「?」
「まぁ、いいや、ちょっと待ってろ」
ボーデンが空いた方の手をローブの内側へ入れる。
仄かに光るピンクの液体。
希釈エリクシールだ。
「ほら、一応塗っとけ」
「ゅ!」
シラヌイが両手を広げ、その上にピンクの液体が数滴落ちる。
シラヌイはそれを手のひらに馴染ませるように両手をこする。
「ふぁぁぁ…あったかいよぉ………」
エリクシールは万能の霊薬であり、凍傷の部分に塗ると暖かくなる。
「おい、あんまりその顔人前ですんなよ。
襲われるぞ」
「?」
「まぁ…九尾の孫に手を出すバカはいないだろうが…」
ボーデンは周りを見て、これ以上スライムが居ないかを確認した。
「よし、じゃぁ帰るぞシラヌイ」
「え?なんで?」
「昼飯買ってねぇし」
「あぁー…」
シラヌイはボーデンに背を向け、砕け散ったスライムの
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