十七匹め
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ライムを探す。
近くにはあと二匹ほどいる。
「ねぇ、ここらってスライムしか居ないの?」
「ああ、ある程度知性があればこんな真っ昼間にここら辺までは寄ってくる事はない。
この時間帯にいるのは知性のないスライムとか一部のモンスターだけだぜ」
「ふーん…」
「そうだな…あと3キロ進めばスライム以外も居るぞ」
「いーよ。面倒くさいし。今日はスライムだけで我慢しとくよ」
そう言うとシラヌイは口笛を吹き始めた。
シラヌイの前世ではオタクなら誰もが知っている曲。
あるゲームシリーズのリメイク版第一作の裏ボスのテーマ曲だ。
吸血鬼少女をテーマにした曲で、タイトルに某有名ミステリーの黒幕の名前が入っているやつである。
「おいシラヌイ。わかっててやってるんだろうが一応言っておくと口笛吹いたりするとモンスター寄ってくるからな」
シラヌイは口笛を吹きながらグッドサインをした。
「ならいいけどよ…」
二人に近付く二匹のスライム。
より近い方へ、シラヌイは歩きだした。
少しずつ歩を早め、やがて駆け足へ。
そして…
「ジェネレート!アイスソード!」
氷で剣を作り、それを弓を引くように、肩に担いで引き絞る。
スライムが触手を伸ばすよりずっとはやく…
「でやあああぁぁぁぁぁぁ!」
トプッと剣をスライムに突き刺す。
「バースト!」
今度は剣を道にして、スライムに魔力を流す。
「凍れ!」
シラヌイがやりたいのはスライムを凍らせてから叩き割るという倒し方だ。
既にある液体を凍らせる場合、液体に魔力を通さなければいけない。
つまり水の支配権を奪う必要がある。
魔力を浸透させるだけでいいのだが、それをすればどうなるかというと…
パシャっ……………。
スライムの形を保つ魔力が吹き飛んでこうなる。
「だぁぁぁぁぁぁ!もうっ!なんで凍らないんだよ脆すぎるぞスライム!」
「いや、そもそもそんな倒し方を考え付くのはお前だけだ。
普通は素直にスライム・コアぶちぬくぞ」
「ほら!食器とか叩き割ったら気持ちいいじゃん!
あれやりたいんだよアレ!」
「お前、そういう感性は子供なんだな」
「だー!もうっ!次行こっ!次っ!」
氷剣を放り投げ、再び駆け出したシラヌイ。
「フツーはこんな出来のいい氷剣を使い捨てないんだがなぁ…」
コアを回収し、シラヌイを後ろから追いかけるボーデン。
彼女の視線の先では、シラヌイがスライムに氷剣を突き刺していた。
「凍れ!」
刹那、シラヌイから大量の魔力が溢れ出す。
そんな余剰魔力が出るほどの魔力を、シラヌイはスライムに注いでいた。
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