機動戦士ガンダム
2135話
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アンリへの説明は、アンリだけではなくラルやダグラスといった面々に対しても同時に行っていた。
……これが説得ではなく説明なのは、セイラの見せた問答無用のカリスマ性によるものだろう。
アンリは本能的にセイラをジオン・ズム・ダイクンの子供だと、そう理解したのだろう。
「それでは……将来的に建国をしようと思っているのではなく、それこそすぐにでも建国を行うと? そして、それが出来るのは……シャドウミラーという異世界の国家のおかげだと、そう言うのですか?」
「そうです。シャドウミラーの協力のおかげで、私達はもうすぐルナ・ジオンという国を建国出来るのです」
「ですが、姫様……」
ちなみに、アンリもいつの間にかセイラを姫と呼ぶようになっていた。
この辺はラルやダグラスに引っ張られたといったところか。
セイラがアルテイシアという名ではなく、セイラと呼んで欲しいと言ったのもあって……その妥協点というのもあるのだろう。
ともあれ、アンリはその初老とは思えない程に鋭い視線を俺に向け、口を開く。
「建国などという事をするには、とてつもない資源や資金が掛かる筈です。それこそ、ルナ・ジオンの首都となるクレイドルでしたか。それもかなりの広さを持ち、そこに重力制御装置や生態系を形成するだけの生き物や植物を持ってくるとなると……到底、善意だけで信じろというのは無理です」
「アンリの言いたい事も分かります。実際、ルナ・ジオンは暫くの間……それこそ十年、二十年。場合によっては百年になるかもしれませんが、とシャドウミラーの保護国という扱いになるでしょう」
「それはっ!」
アンリが不満そうに何かを言おうとするが、セイラが片手を出して止める。
アンリにしてみれば、ジオンの名を真の意味で継ぐルナ・ジオンという国家が、シャドウミラーの保護国になるというのはどうしても我慢出来ないのだろう。
ジオン・ズム・ダイクンに心酔していたアンリの性格を考えれば、それも不思議ではないが……だが、だからと言って、既にルナ・ジオンという国家を建国する為に動いている以上、どうしようもないのは事実なのだ。
「シャドウミラーの力を借りないという選択肢はないわ」
そうセイラが言い切るのは、ここで俺達の力を借りなければ、ルナ・ジオンという国家を建国する事が出来ないと理解しているからだろう。
いや、もしかしたら俺達の力を借りなくても、自分達の力でどうにか出来る可能性は高い。
だが、自分達だけで国家を建国しようとした場合、問題になってくるのは時間だ。
セイラがルナ・ジオンという国家を作ろうとしている最大の理由は、シャアによる小惑星落としを止める為なのだ。
それが具体的にいつ起きるのかは分からないが、それでも100年、200年先という事は寿命的な問
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