406部分:第三十一話 夜の港でその一
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第三十一話 夜の港でその一
夜の港で
星子は三人に連れられてケンタッキーに入った。商店街の中にあるその店はわりかし繁盛していて平日の夕方に学生達が集まっている。
その中の四人用の席に座ってだ。まずは星子が言うのだった。
「あの」
「ええ、星華ちゃんだけれど」
「お部屋に篭りっきりなのね」
「そうなってるの」
「殆ど食べなくなっちゃって」
星子は困った顔で話すのだった。
「それで。心配で」
「そうなの。やっぱり」
「相当ショックだったのね」
「あのことが」
「あのことって」
星子は三人の言葉にすぐに顔を向けた。そして問うのだった。
「何ですか、それって」
「あっ、しまった」
ここでだ。言ってしまった州脇が困った顔になった。
「それはね」
「何なんですか、本当に」
「何ていうかな」
「仕方ないじゃない。どっちにしろ言うしかないし」
「そうだからね」
ここで橋口と野上が州脇に言ってきた。
「それはね」
「言うしかないじゃない」
「そうね。結局はね」
州脇もだった。今度は観念した顔になって話すのだった。
「そうなるしかないわよね」
「ええ、だからね」
「ここはね」
「わかったわ。じゃあ」
州脇は大きく溜息を吐き出した。そうしてだった。
「あのね、いいかしら」
「はい」
星子は座りながらも身構えた
「御願いします。お姉に何があったんですか?」
「ふられたのよ」
ここから話す州脇だった。
「好きだった男の子にね」
「ってことは」
それを聞いてすぐにわかった星子だった。
「斉宮先輩にですか」
「えっ、まさか」
「あんたそのこと」
「知ってたの」
「はい、知ってました」
その通りだと。星子は三人に対して答えた。
「というか気付きました」
「星華ちゃんってわかりやすいからね」
「根が素直だし」
「嘘吐くの下手だしね」
「それでなのね」
「やっぱり」
「あんたもそれで」
三人もだった。ここで星子の言葉に応えて言う。
「気付くわよね、あれじゃあ」
「気付かないのって相当鈍感なのだけれど」
「それこそもう」
「先輩は気付いてませんから」
星子がその気付いていない相手を言った。彼だというのだ。
「あの、先輩って」
「そうなのよ、あんまりにも鈍感で」
「あんなにわかりやすいのに全然気付かないから」
「だからね」
「ううん、それでお姉も困ってたんですけれど」
星子は困った顔で話す。そしてそのうえだった。
三人に顔を向けてだった。そうしてそのうえで彼女達に問うのだった。
「あのですね」
「え。ええ」
「何?」
「どうしたの?」
「何でふられたんですか?」
そのことをだ。
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