405部分:第三十話 光と影その十
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第三十話 光と影その十
「あの」
「んっ、どうしたの?」
「何かあったの?」
「八条学園高等部の人達ですか?」
まずはこう尋ねたのだった。
「一年四組の」
「えっ、うん」
「そうだけれど」
「どうしてわかるの?」
「校章とクラス章で」
素直に答える星子だった。
「わかりますから」
「校章はわかるけれど」
「クラス章までわかるってね」
「ちょっと凄いんじゃない、それって」
三人は星子が誰だかわからないまま話す。
「あんた中学生みたいだけれど」
「一体誰?」
「うちの学校と関係あるの?」
「お姉がそこの生徒なんです」
ここでも素直にありのまま話す星子だった。
「一年四組で」
「えっ、ということは」
「あんたまさか」
「星華ちゃんの?」
三人がはっとした顔になって言うとだった。星子がまた言ってきた。
「お姉がどうしました?」
「やっぱり」
「あんたそうだったの」
「星華ちゃんの妹さんだったの」
「はい、そうなんです」
また答えた星子だった。そうだとだ。
「それでわかったんですけれど」
「そうだったの、妹さんだったのね」
「星華ちゃんの」
「そうだったんだ」
「あの、それでなんですけれど」
話を聞いて納得した三人にだ。星子は問うのだった。
「お姉何があったんですか?」
「何かって」
「ううん、とそれは」
「何ていうか」
「お姉ここんとこずっと自分の部屋に篭もって出て来ないんです」
星子は困った顔になってこのことを話した。
「引き篭もって。本当に一体何があったんですか?」
「ここじゃなんだから」
「往来の真ん中だし」
「ちょっとね」
しかしここでだ。三人は周囲を見回してそのうえで星子に言うのだった。
「場所変えない?」
「そこで話したいけれど」
「いいかしら」
「はい、わかりました」
星子も三人のその言葉に頷いた。
「それじゃあですね」
「あそこがいいわね」
「そうね」
「あのお店がね」
丁度いい具合に三人から見て左手、星子から見て右手にケンタッキーがあった。その赤い看板と白いあのおじさんを見て三人は言うのだった。
「あそこでフライドチキンでも食べながらね」
「それでお話しない?」
「それでどうかしら」
「わかりました」
星子も三人のその言葉に頷いた。
「それじゃあ。今からあそこで」
「ええ、フライドチキン驕るからね」
「お話ししよう」
「それじゃあね」
「驕るなんていいですけれど」
それは謙遜していいという星子だった。
「私、お金ありますし」
「だからいいのよ、それはね」
「先輩だし」
「気にしなくていいのよ」
三人は星子のその謙遜に余裕のある笑みで返す。
「まあとにかくね」
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