暁 〜小説投稿サイト〜
虹にのらなかった男
P5
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からムサイの下方10キロへ向かって飛んでいる。

「ビームキャノン モード変更 収束モード。
チャージ開始」

そうして、ムサイから見て正面マイナス70度。

機首を上げる。

ゆっくりと。

「ぐっ…これでもっ…Gがけっこう…!」

ムサイの真下に入る。

全速力航行のまま、ムサイの真下から近づき…

「ファイア!」

ムサイの左エンジンブロックを射抜く。

一瞬すれ違い様にメガ粒子砲がこちらを向いたが掠める事もなく離脱できた。

後方で爆発の光が瞬くのを見ながら、慣性飛行に切り替え、機首をホワイトベースの方へ向ける。

「ノア少尉。ムサイのエンジンを片方潰した。直ぐに撤退するだろう」

『了解。それまでガンダムの援護を頼みます』

「ラジャー」

戦域に機首を向けるとちょうど一つ大きな火球が見えた。

爆発の規模からザクだろう。

ガンダムは高出力ジェネレータと多量の燃料を積んでいる。

ガンダムが爆発すればあの1.5倍はいくだろう。

「加勢するぞガンダム!」

ガンダムから離れた所でバズーカを構えるザクに対してビームキャノンを射つ。

かなりの距離がある。が、あれだけガンダムから離れていれば誤射もあるまい。

五回トリガーを引き、ようやく当たる。

ザクが新たな火球と化した。

戦域と距離が縮まる。

次の目標はシャアザクを援護する奴だ。

原作では二機だがさっきコロニーから逃げるザクを見逃したので三機要るようだ。

とは言えザクが一機増えた所で、それがシャアやガトーのような熟練パイロットでない限りガンダムの敵ではない。

「アムロ君!聞こえるか!」

『はい!中尉さん!』

「ザクは俺がやる!君はシャアに集中しろ!」

『や、やってみます!』

ザクの直上に付き、スラスター全開。

コンソールを弄ってサブアームを起動する。

ビームサーベルを伸ばし……すれ違う。

遅れて爆発の光が見えた。

ガンダムとシャアザクの戦いの方は、シャアがガンダムに蹴りを入れ、その反動でムサイの方へ飛んでいくという結末だった。

『はぁ…! はぁ…! はぁ…!』

アムロの荒い息が通信機ごしに聞こえる。

「アムロ君。よくやった。シャアを追い払えたのはガンダムの性能だけじゃない。
性能を使いこなした君自身の腕と、シャアに向かって行った君の勇気だ。
誇りたまえ、少年」

『ありがとう…ございます』

「さぁ、ホワイトベースに帰ろう。
君の友達も、待ってくれているはずだ」

『はい!』

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