第五次イゼルローン要塞攻防戦3
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には第五艦隊と第八艦隊が道をふさぎ、自由になった第四艦隊がイゼルローン要塞への攻撃を開始したのだった。
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「何をしている。ヴァルテンベルクの阿呆が――これでは撃てないではないか」
この様子に激怒したのは、イゼルローン要塞司令官のクライスト大将であった。
要塞モニターに映るのは、帝国軍と同盟軍が無様にも入り混じる姿であり、砲撃を加えれば、その多くはこちらに近い位置にある駐留艦隊に被害を与えることとなる。
イゼルローン要塞の補助砲を使うしかないが、焼け石に水といってもいいだろう。
「敵――第四艦隊。スパルタニアンを射出」
第四艦隊から、単座式戦闘艇――スパルタニアンが動き出し、要塞へと向かった。
「ワルキューレを出せ」
イゼルローン要塞から帝国軍の単座式戦闘艇が射出され、近づくスパルタニアンに対して攻撃を加えた。要塞の補助砲のサポートもあって、多くのスパルタニアンが撃ち抜かれ、宇宙に消えていったが、数が多く、ワルキューレは撃ち落され、補助砲も炎をあげた。
「敵艦船――!」
悲鳴に近い声が、通信士官から聞こえる。
無人艦だ。
単座式戦闘艇に向いた間隙を抜いて、無人艦らしき艦艇が要塞へと急降下をする。
駐留艦隊は役には立たず、補助砲もすべてを打ち落とすことはできない。
「接触しまっ――」
叫んだ索敵士官の声と同時、イゼルローンが大きく揺れて、モニターにノイズが走った。
爆発音は、遠いイゼルローン要塞指令室にまで聞こえてきた。
「被害。第二隔壁まで損傷――モニター切り替えます」
切り替えられたモニターには、無人艦によって撃ち込まれたイゼルローン要塞の様子が映し出されていた。液体金属の壁が大きく避けて、中の無骨な鉄骨をむき出しにしている。
時折、ゴミの様に外に吸い出されるのは、そこで任務をしていた人間であろう。
「何という事だ」
あまりにも痛々しい姿に、クライストは絶句する。
過去四度の戦いがあって、イゼルローン要塞は無傷の様子を保ってきていた。
それが、愚かな敵軍に。
いやと、クライストは怒りを滲ませながら、モニターに映る艦隊を見る。
それもこれも愚かな駐留艦隊によるところだ。
奴らがいなければ、トールハンマーを使い、このようなことになることはなかった。
いまだに交錯する無様な様子に、吐き捨てるようにクライストは叫んだ。
「ヴァルテンベルクの阿呆に、さっさと後退するように伝えろ」
「はっ!」
慌ただしく、端末を操作する様子に、クライストは怒りを抑えきれずに、唇を噛んだ。
駐留艦隊の阿呆のせいで、偉大なイゼルローン要塞に、初めて傷をつけたのが自分となることが腹立たしかった。
「なぜ、阿呆のしりぬぐいを俺がせねばならぬの
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