第五次イゼルローン要塞攻防戦3
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を見ている。
そこには――こちらの後退と同時に加速して突っ込んでくる艦隊がある。
第五艦隊分艦隊旗艦ゴールドラッシュ。
同盟軍の最精鋭を従え、動き出す様子は迅雷のようだ。
前線に押し上げていた駆逐艦や巡航艦を破壊して、戦艦へとその牙を向けている。
「ばかな、そんなこと、そんなことあるはずがない」
「艦長。命令を!」
「撃て、敵を撃ち殺せ!」
「砲撃、間に合いません」
「撃て、撃てと言っている」
既に、敵艦隊の姿がはっきりとわかるようになった。
帝国艦隊とは違い、ブロックを組み合わせたような無骨なデザイン。
その中央に置かれた方向が、緑色に光り――。
「そんな馬鹿なことがあるはずがない!」
敵戦艦の主砲は、レオポルドβの艦橋を貫いた。
その脇で、一隻の駆逐艦が素早く離脱する様子をシラーは見ることすらなく、蒸発した。
+ + +
「食らいつけ!」
怒号に近い言葉とともに、ドワイド・グリーンヒル中将の声が飛んだ。
帝国軍イゼルローン駐留艦隊が一気に引き込むと、ほぼ同時。
その動きを、いまかと待ち構えていた同盟軍は、シトレ総司令官の命令を受けて、前進行動へと移った。流れるような動作で、第五艦隊スレイヤー分艦隊が敵の前線に接近し、一撃。
敵は予測すらしていなかったようで、敵の前線は一瞬をもって崩壊した。
身じろぐように敵の動きが弱くなった瞬間を、グリーンヒルは見逃すことはない。
普段の穏やかな様子を消して、叫ぶように下された命令を受けて、第四艦隊の面々も、第五艦隊に負けるかと、追撃を開始した。
帝国軍も接近されるのを嫌い、先ほどに倍する砲撃とミサイルを撃ち込み、同盟軍の被害も大きくなる。だが、後方から次々と変わりが現れ、同盟軍を引き離せないでいる。
既に帝国軍と同盟軍双方が、トールハンマーの射程内に入り込んでいる。
だが、後退してイゼルローン要塞に向かえたのは帝国軍でも後方に位置していた部隊の一部だけであり、その多くは同盟軍と接敵して、実に――無様な殴り合いを繰り広げていた。
「なんと、無様な。敵を振り切れ」
イゼルローン駐留艦隊総司令官のヴァルテンベルクは叫ぶように、命令を出すが、同盟軍は振り切ることを許さず、既に艦隊の中腹近くまで侵攻を許していた。
それは不意を突かれたという点もあったであろうが、一番の大きな原因は数の差だろう。
殴り合いになれば、敵を一隻倒す間に、こちらも一隻が失われる。
そんな状態であれば、数に有利な方が上回るのが道理である。
帝国側も前線で壁を作り、後方の艦隊をイゼルローン要塞に戻そうと試みているが、そこに同盟軍第八艦隊が来襲する。
より一層な圧力が、駐留艦隊に対する自由を奪う。
彼らの前
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