404部分:第三十話 光と影その九
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第三十話 光と影その九
「やっていくといいから」
「じゃあ今度のデートも」
「つきぴーに何かあれば騎士になって」
「騎士か」
「そう、騎士」
今度言う言葉はそれだった。椎名はその間ずっと陽太郎を見ている。
「騎士になること」
「俺剣道だけれどそれでもいいんだな」
「武士は主君を護るもの」
これはよく抱かれているイメージである。実際に武士はその一面が強い。武士にとって重要なのはまず忠義とされていたからだ。
「けれど騎士は」
「女の人の為だってか」
「そうだ。だから」
「わかったよ。じゃあ月美には騎士になるな」
「うん。私もそれになるから」
椎名もだというのだ。騎士になるというのだ。
「けれど。第一の騎士は」
「俺か」
「そういうこと。つきぴーを御願い」
「ああ、わかったよ」
「それじゃあ」
こう話してだった。彼等も誓い合うのだった。彼等はまさに光の世界にいた。
しかし彼女達は違っていた。橋口達は学校の帰り道にあのファミレスに入っていた。そしてそこで話をするのだった。
「今からね」
「うん、行こう」
「それじゃあね」
思い詰めた顔でそれぞれ顔を見合わせて話す。
「今からね」
「星華ちゃんのところ」
「それで何とかね」
「学校に来てもらおう」
「そうしよう」
「絶対にね」
言い合いながら誓い合うのだった。そうしてだった。
これから行こうとする。しかしその時になるとだった。
「大丈夫よね」
「そうよね」
州脇と野上が難しい顔で話すのだった。
「星華ちゃん学校に行ってくれるようになるわよね」
「私達が行けば」
「それでいけるわよね」
「ちゃんと」
こう話すのだった。そしてだった。
中々行こうとしない。いや、できなくなっていたのだ。
いざ行くとなったところで怖気付いてしまってだ。どうしようもなくなっていた。
「行かないといけないよね」
「じゃあ行こう」
「うん、けれど」
「大丈夫よね」
中々動けなくなっていた。そしてそれはだ。
橋口も同じだった。三人は足がどうしても動けなくなっていた。
それで戸惑ってだ。前に進めなくなっていた。しかしだった。
橋口がだ。ここで言った。
「仕方ないじゃない」
「仕方ない?」
「仕方ないって?」
「星華ちゃん友達よね」
意を決した顔でだ。二人に言うのだった。
「私達の。友達よね」
「うん、そうよ」
「そうだけれど」
「じゃあ行こう」
これが彼女の言葉だった。
「今からね。行こう」
「そうね。友達だったら」
「困ってる時はね」
二人もだった。橋口の今の言葉に考える顔になった。
「じゃあ今から」
「星華ちゃんのお家にね」
「ええ、行こう」
三人で意を決した
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