残り一人のジンロウを探して〜一条聖月side〜
[8]前話 [2]次話
――――今、私がすべきことはなんだろう。
残っているのはメンバー。人狼陣営は人狼一人と狂人一人の計二人、村人陣営は村人一人と共有者一人、狩人一人と占い師一人の計四人。このうち、共有者が陽で、狩人が一鶴、占い師が私であることはわかっているが、人狼と狂人、そして村人が誰なのかはまだわかっていない。
セブンや沙耶香、雷やレン、ダイヤや猿也のためにも、このゲームを一刻も早く終わらせてあげないといけない。
そのために、もう「私が人狼」と嘘をついても良かった。だけど、もうそれが嘘だという事は皆わかっていて、きっと笑って終わってしまう。だから「このゲームを終わらせる手段」という物はまだ私には無かった。
ただただ投票して誰かを殺して、夜に人狼が誰かを殺してという流れでしかこのゲームは終らないのだ。
「投票の時間だ……」
きっと、お兄ちゃんや零の言葉の弁解を求める達也の声は、ずっとずっと頭の中に残り続ける。
五日目 投票結果
聖月 → 輝
達也 → 零
零 → 達也
陽 → 達也
一鶴 → 零
輝 → 達也
最期まで私に助けを求める、達也の表情も、ずっとずっと。
――――このジンロウゲームの記憶はずっとずっと私の中に残り続けるのだ。
――――私がこのゲームで死ぬ、最後の時まで。
「聖月?絶対に生きてくれ……」
彼が眠る直前に叫んだこの言葉と共に、永遠と私の中で生き続け―――――
「……分かった?絶対……絶対私達が勝つから?」
せめての償いだ。このゲーム、勝ってやる。
明日人狼陣営を殺して、終わりにしてやる―――――
――――――――一鶴が無残な姿で発見された。
ジンロウゲーム六日目の朝が来た。
部屋を抜け出して急ぎつつ丁寧に達也と一鶴のお墓を作り、七つになったお墓に手を合わせる。そして、強く言った。
「今日、このゲームを終わらせてそっちに行くから待っていてね」
今日することはもう決まっている。だから、早く腹を括って待っていよう。
一度だけ強く吹いた風は丘の上に一本だけ植わっていた、桜の木の花びらを乗せて消えてゆく。
私は立ち上がって家へ向かった。
最後の投票をするために―――――――
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ