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空に星が輝く様に
403部分:第三十話 光と影その八

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第三十話 光と影その八

「今はまあ」
「どんな夢ですか?」
「あれかな。花屋とかそういうのかな」
 少し曖昧な返答だったが言った。
「そういうのになりたいなって思ってるんだ」
「花屋さんですか」
「花を扱う仕事に就きたいんだよ」
 これが陽太郎の今の夢なのだった。
「そういうのは駄目かな」
「いいと思いますよ」
 月美はにこりと笑って陽太郎の言葉に返した。
「私も夢はありますし」
「月美の夢?」
「はい、具体的なものじゃないですけれど」
「それでもなんだ」
「幸せな家庭です」
 そのにこりとした笑みでだ。月美は陽太郎に話した。
「そうした家庭を築きたいです」
「家庭をなんだ」
「はい、陽太郎君と一緒に」
 彼のその顔を見ての言葉だった。
「幸せな家庭を。築きたいです」
「俺と」
「駄目ですか、それは」
「いや、いいのかな」
 それを聞いてだった。陽太郎は戸惑いながら言うのだった。
「俺なんかで」
「陽太郎君でないと」
「そう、俺なんだ」
「はい、陽太郎君です」
 またその笑顔で話す月美だった。
「私でいいですか?」
「いや、だからそれはさ」
 陽太郎は戸惑ったままだったがそれでも言った。
「俺の台詞だし」
「陽太郎君のって」
「俺って凄くいい加減だよ」
 こう己のことを話していく。
「それでもいいんだ」
「斉宮」
 ところがだった。月美が彼に言ってきた。
「つきぴーはね」
「あ、ああ。月美が?」
「見てるから」
「俺のことをか」
「そう、見てるから」
 こう彼に話すのだった。
「だからちゃんと安心していいから」
「そうか。それでいいんだな」
「うん。ただし」
 椎名は言い加えはしてきた。
「つきぴーをちゃんと守ること」
「それが条件か」
「絶対十分条件」
 それだというのである。公務員試験めいた言葉だった。
「それができないと」
「俺は駄目か」
「つきぴーが許しても私が許さない」
 これが椎名の言葉だった。
「そういうこと」
「椎名の蹴りが飛んで来るのかよ」
「蹴りだけじゃ済まないから」
「おい、そりゃまた物騒だな」
「私はありとあらゆる手段を知ってるから」
 その後ろにどす黒いものさえ背負っての言葉だった。
「その時は覚悟すること」
「わかってるさ。それはな」
「そう。知ってるから」
 言外に文化祭のことを話している。これは椎名と陽太郎、それに月美だけがわかることだった。赤瀬もであるが深くは三人だけが知っていた。
「それは」
「そうか、それはなんだな」
「気合入れて頑張ればいいから」
「このままか」
「そう、このままで」
 まさにそれだというのだった。

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