真実と嘘と死のゲーム〜一条聖月side〜
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ン、零、陽、雷、一鶴、猿也、輝にぃ。これが倒れていた十一人の名前。
知っている人が居ることはとても心強い。だけど――――――
「何故起きない……?」
全く彼らが起きる気配がしない。これなら結局いないのと同じだ。
急に訪れる孤独感を感じるのは久しぶりだ。先程は全く感じなかったのだが、一度他人の存在を思い出してしまったので孤独感が倍増したのだろう。
「……っつ〜……ってあれ?どこ、ここ?」
暫くしてから後頭部を摩りながら体を起こす一鶴。私はあまりにもそのことが嬉しかったのか、無意識に彼に跳び付いていた。
「一鶴……?」
少し驚いたような表情を浮かべても、しっかりと受け止めてくれる一鶴。顔を上げると、すぐそこにサングラスをかけていない一鶴の整った顔がある。何故かは分からないのだが、一鶴のその顔にキュンとしている自分がいる。
暫くその状態で硬直していると、突き刺さる視線に気づき再度辺りを見回す。
「聖月ぃ?」
が、少し顔を動かしたところで、先程より近い位置に零の顔があり、反射的に「ひゃあっ!?」と叫びつつ一鶴の後ろに隠れる。
この場所に来てからテンションがおかしいのか、又は意識が狂ってしまったらしい私は、火照る顔を手で覆いながらチラリとその向こうを見る。そこにはしっかりと目を覚まし、広がる草むらに座る十一人が居て、安心してパタリと横に倒れる。
先程まではこの世界が異世界であると思っていたが、この世界が異世界であるとは限らない。というか、異世界であるわけがない。きっと誰かが寝ている間に運んだのだろう。そう信じることにする。
でも、そうだとした場合何をすれば―――――――
『おはよう、囚人や看守の皆』
急に聞こえてくる鋭司さんの声に皆は肩を大きく震わせ、空を見上げる。頭上から声が聞こえてきたのだ。だが、ここにはスピーカーもなければ人の気配も私と他の十一人のものしかない。
私は再度体を起こして立ち上がり、上を向いて叫ぶ。
「看守長!どこにいらっしゃるのですか!?」
だが、その声は空しく空に響き渡るだけで、どこかに居るであろう鋭司さんに伝わった気がしない。
『残念ながら、会うことは出来ないよ。君達には、これから「人狼ゲーム」をやってもらうよ。さぁ、後ろにある家で自分の役職とルールを確認するのだ。早くしないと、君達はゲームオーバー。つまり、死ぬことになる』
いつもとは違って冷ややかな声色。鋭司さんであるはずなのに、鋭司さんではないような変な感覚。
心の中で何度も何度も「鋭司さんはそんな『デスゲーム』のような事をして遊ぶような人では無い」と唱えるが、不安は消えない。
『健闘を祈っているよ』
それからは全くと言っていいほど鋭司さんのアナウンスが流れる事は無かった。きっと、アナウンスのための装置の電
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