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空に星が輝く様に
402部分:第三十話 光と影その七
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第三十話 光と影その七

「それに行こう」
「何処のバイキングかな」
「八条百貨店の」
 そこのだというのだ。
「中華レストランのそれ」
「そこのだね」
「安くて美味しいから」
 バイキングだけでなく食べ物で人気が出るには不可欠の二つの事項であった。
「だからそこにしよう」
「うん、わかったよ」
 赤瀬も椎名のその言葉に頷く。
「それじゃあそこでね」
「そうしよう。それでだけれど」
「それでだけれど?」
「そこで美味しいのは」
「ええと、あそこって何がよかったかな」
「海鮮麺」
 それだというのである。
「麺類全体が美味しいけれど特にそれがいい」
「海鮮麺がなんだ」
「そう。バイキングでもあるから」
「バイキングに麺類があるんだ」
「頼んだら持って来てくれる」
 椎名は淡々と話していく。しかしそれは確かだというのである。
「だから何につけてもそれ」
「海鮮麺だね」
「その他にもあのお店は海鮮ものがいい」
「シーフードのお店なんだ」
「広東料理だから」
 広東料理の特徴として海鮮ものがいいというものがある。何故かというと広東料理発祥の地である広東は海に面しておりそこでいい海の幸がよく採れるからである。だからである。
「炒飯も点心も」
「海のをだね」
「そう、赤瀬魚介類は」
「大好きだよ」
 即答だった。今も浅蜊の煮付けを食べている。
「何でも食べるけれど海のがね」
「だから。それで」
「一緒になんだね」
「そう、行こう」
 椎名はまた彼を誘ってきた。
「それで食べよう」
「うん、二人で楽しくね」
「食べることは人生の幸せ」
 いつもの目で、いつもの口調での言葉だった。
「それなくして人生なし」
「そうそう」
「そういえば俺達もな」
「そうですよね」
 陽太郎と月美は周りの二組のカップルの会話を聞いて自分達のことを考えて述べた。
「デートっていったら登下校の時以外は」
「食べてばかりですよね」
 自分達のことに気付いたのである。そのうえでの話だった。
「だから余計にだよな」
「はい、今度のデートの時は」
「港の夜の景色をだよな」
 陽太郎は月美に対して微笑んだうえで述べた。
「そこ、楽しもうか」
「はい、二人で」
「港かあ。そういえば俺って」
「陽太郎は?」
「あれなんだよ。子供の頃船乗りになりたいって思ったことあるんだよ」
「そうだったんですか」
「海を見ていてさ。思ったんだよ」
 子供に人気のある仕事の一つである。人は本能的に海に憧れる。それは哺乳類の祖先が海にいたせいなのかも知れない。
「何時か船に乗って。船長さんになってさ」
「それで海を旅してですね」
「なりたいと思ってたんだ」
「今もですか?」
「ああ、今はさ
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