第6話 狂うという選択肢
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
────なぜ、泣くんだ?
なんで、泣かないんだよ。
────泣く必要がどこにある?
お前には、罪悪感はないのか?
────実害を与えたわけでも無いのに?
……もういい、シグ。お前には分からないだろうさ。
────そうだな。
────そろそろ、俺に戻るぞ。
……好きにしろよ、クズ野郎。
少年は、やがて涙を枯らした。
泣き止んだ少年は再び狂う。勝つために、失わない為に。
再び『シグ』となった少年は────昏く嗤って、次の策を編み始めた。
時は変わって、エルキア某所。そこには、シグと吸血種の少女────訂正、少年プラムが対峙していた。
「……それでぇ、ボクに一体何の用ですぅ?」
「ああ、単純な頼み事だ。『 』を裏切って、俺についてくれ」
またある時ある場所。シグと森精種の少女が、テーブルを挟んで対談していた。
「この私をぉ〜、布石に使うとぉ?何のつもりかと、問うて宜しいのですかぁ?」
「ああ、『 』を倒すために布石になってくれ。損はさせない」
────即ち、シグの目的は協力者の作成だった。
だが、話を持ち掛けられた二人の返事は、奇しくも同じだった。
「「勝手に一人でやってて下さい(なのですよぉ)♪」」
つまらないジョークを嘲笑うような、その返事に。
シグが返す答えもまた、同じだった。
「そうだな、独りで勝手にしよう────お前らは布石、人数にカウントされるわけないだろ?」
そうして、シグは煽って誘導して、ゲームするまでに漕ぎ付け。
絶対遵守の誓いを、口にさせた────
────【盟約に誓って】、と。
「手っ取り早く行こう。ゲームは『神経衰弱』、ただしルールに多少の追加変更を加える。
・ペアの作成に失敗した場合、『失敗』としてプレイヤーにストックされる
・ペアを作るまで自分のターンは終わらない
・最終的にストックが多かった方の敗北とする
……こう変更する」
そう、シグはゲームを定めた。
「あと、ハンデとして先攻は譲ってやるよ。とっとと始めようぜ?」
そう、自前のトランプを切りながらシグは言う。その顔には、ジブリールを欺いた時と同じ────いや、それ以上の薄笑いが貼り付けられていた。
それを、プラムは訝しんだ。
……どういうことだ?魔法を使える相手に『神経衰弱』など、ワンサイドゲーム以外の何物でもない。それが理解できないほど、目の前の少年は愚鈍には見えない。
だが、フィールはこう結論づけた。
……どうにせよ、このゲームがワンサイドゲームであることに変わりはない。
どんな策を弄していようが、無意味な事と。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ