第二章
本当の心
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トは、剣を鞘に納めた。
「……お? どうした? 私の威圧を前に戦意喪失でもしたのか? 」
ケラケラと笑う魔女を前に、エレトは静かに、呟く様に言った。
「お前は……そんな事言っておいても尚、破滅を望むのか? 」
直後、魔女が驚いた様子で目を見開き、ユラユラと動かす足を止めた。
「破滅の光なんて呼ばれている奴が、場所を気にする筈が無い。
無差別に人を殺すのにだって、理由があるんだろ? 」
少しの間、沈黙が訪れる。
しかし、その沈黙は、魔女の笑う声によって破られた。
「ははっ……ははははっ……何だよ、お前…………
私は魔女だ。破滅の光だ。人間を殺して何が悪い?
……あぁ、もういい。気が滅入った。
お前、この森から出ていけ。そして二度と戻って来るな。殺さないでおいてやる」
「答えろ」
「はぁ? 答えなんか無い。人間が憎いから殺すんだ。
理不尽で、自分勝手で、どうしようも無い人間が嫌いだ、嫌いだ」
魔女は苛立ったのか、枝に足を置いて立ち上がる。
しかし、エレトは怯むこと無く、魔女を睨み続けている。
「……見え透いた嘘を付くんだな」
この言葉が空間に響いた直後、魔女から閃光が走り、景色は一瞬にして光に呑み込まれた。
「五月蝿い……お前、私の何が分かるんだよ。
生きていた私を知っていたとでも言うのか? あ? 知らないだろ? 知ったかの様に口をきくな!
クソッ……もうお前とは逢いたくない。じゃあな」
真っ白に染まった景色に、その言葉は吸い込まれていった。
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