396部分:第三十話 光と影その一
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第三十話 光と影その一
第三十話 光と影
一週間が過ぎて十日になっても。まだだった。
「ねえ、本当に」
「ああ、ちょっとな」
両親もだ。いい加減不安になってきていた。
「あの娘、大丈夫なのかしら」
「ずっと家から出ないな」
「風邪、じゃないわよね」
「ここまで悪いってことはないだろ」
父親がそれを否定した。
「幾ら何でもな」
「そうよね。学校に行けるって聞いてもね」
「返事ないんだな」
「そうなの。ないの」
実際にそうだというのであった。母は暗い顔で夫に話す。
「もうね。全然ね」
「それじゃあ今は」
「俺が行こうか」
ここで父が言ってきた。
「俺が行ってそれでな」
「それ、止めた方がいいわよ」
「止めた方がか」
「ええ、いいわ」
そうだというのだった。
「お父さんあれよね。無理に出そうって考えてるわよね」
「ああ」
実際にそうだとだ。妻の言葉に頷く。
「そうだけれどな」
「それは止めておいた方がいいわ。強引なのはね」
「部屋に入るのは特にか」
「それは絶対に駄目ね」
きっぱりとして言い切る母だった。
「逆効果にしかならないから」
「そうか」
「そう、だから今はね」
「そっとしておいてか」
「それよりもよ」
また言う母だった。
「今はそっとしておいてね」
「立ち直るのを待つべきか」
「もう少しね」
しかしだった。その時間は短く区切るのだった。
「待ってましょう」
「そうか。じゃあここはな」
「あまり食べてもないけれど」
「それもか」
「ええ、いつも半分以上残してるわ」
食事は扉の前に置いているのだ。しかしそれがなのだった。
「食欲もないのよ」
「あいつがか」
「そう、ないの」
また言う母だった。
「だから心配だけれど」
「あいつがあそこまでなるなんてな」
「いつも元気だったのにな」
「それがああなるなんて」
困り果てるしかない両親だった。そしてだ。
星子もだ。そんな姉の部屋の扉を見てだ。心配する顔になっていた。
そしてそのうえでだ。何かを考えているのだった。
「ここは」
そしてだった。彼女も決めたのだった。
星華は学校に来なくなった。それでだった。
三人はだ。その彼女の机を見て暗い顔で話すのだった。
「ねえ、どうしよう」
「星華ちゃん来なくなったら、このまま」
「どうしよう」
「本当によ」
「どうしたらいいのよ」
「ここは」
こう話してだった。どうしていいかわかりかねていた。しかしだった。
ふとだ。ここで野上が言うのだった。
「ねえ」
「うん」
「何か考えがあるの?」
「お家行ってみる?」
怪訝な顔で二人に提案するのだった。
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