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短編達
肩揉みそうゆな
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 紅に染まった顔で、もうやめちゃうの? と言いたげな表情をしながら振り返った幸奈が蕩けた目で奏輝の方を見上げる。
 今まで、真顔、笑顔、泣き顔、怒り顔、憂い顔、ドヤ顔、慈顔などの様々な幸奈の表情を見てきたがその何れにも当てはまらないその表情は奏輝の心を大いに乱した。

「すみません……ちょっと、待ってください……」
「う、うん……奏輝君、その……」

 壁に手を当てて溜まっていた何かを息と共に長く長く吐き出して何とか平常心を取り戻した奏輝に幸奈がモジモジとしながら話しかける。

「なんでしょうか……?」
「もっとくっついて、揉んで欲しいの……ダメ……?」

 奏輝としては、これ以上距離を縮めようものならそれこそ平常心なんて粉々に砕けて襲うまであるだろう。そのお願いは断るべきなのだろう、だが奏輝は、幸奈という最愛の人にはとても甘く、拒否するという事が出来ないのだ。

「……分かりました。えーっと……」
「ここで……お願いできる?」

 いつの間にか幸奈は移動しており、ベッドに座ってポンポンと叩いている。体勢としては幸奈が奏輝の足の上に座るか、両足で挟み込むのどちらかになるだろう。

「これで、いいですか?」

 奏輝が選んだのは後者だった。さっきより距離は縮まりこの体勢ならば吐息も伝わる可能性もある。

「幸奈さん、普通に声出して大丈夫ですよ…………多分」
「……うん」

 再び、奏輝は幸奈の肩に触れて肩揉みを始める。幸奈は奏輝に言われた通り耐えずに、喘ぎ声にも似た声を遠慮せずに上げて、先程の距離感では聞こえなかったであろう小さな吐息等も奏輝の耳に届いてきた。それに加えて身体の震えも心なしか増しているようにも見える。
 その反応に奏輝は──
 ──駄目だ。どちらにせよ色っぽくて耐えられそうにない……
 乱心していた。肩を揉む手の速度と力は一定に保たれているものの、思考は大いに乱れていた。遂に手が心に乱され、ズレて更に力が常時より強く揉んでしまった。

「ぁっ!」
「すみません! 痛かったですか?」

 大きな声を出した幸奈に奏輝はすぐに謝ってズレを修正しようとすると、可愛らしく首を横に振って

「違う……そこ、が凄く気持ちよくて……力も丁度良かったから、声が……お願い……さっきみたいな位置と強さで、して……?」
「……分かりました。もっと遠慮せず言ってくれても大丈夫ですよ」

 奏輝はそう言って位置をずらして、先程よりも力強く、肩を揉み始める。そこからは幸奈も場所の指定をして、気持ち良さそうな声を出していた。
 十数分肩揉みを続けて、お互いにもう慣れたようでリラックスしている。すると、いきなり扉が勢いよく開かれた。
 
「オイコラお前ら! まだ17歳だろうが! 責任も取
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