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短編達
肩揉みそうゆな
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して微笑んで心底嬉しそうな笑顔を奏輝に向けた。

「俺は幸奈さんを褒める時は本心しか言いませんよ。嘘を付くのが下手ですから」
「うぅ……は、早くお願い!」

 そして最後の追い打ちで幸奈は許容範囲をオーバーしたようで耳まで真っ赤にしてフイッと前を向いてしまった。
 そう言えば、遮られてしまったが幸奈の後ろ姿の魅力はまだまだある。彼女はオフショルダーの服装を好んで着ており、肩は勿論、背中も少し露出している。陶磁器のように滑らかで奏輝の心を奪っていた。

「それでは……」
「うん……」

 奏輝は、その滑らかな肩に触れる。遮断するモノは何もなく、両手に冷たく絹のような、しかし柔らかい感触が伝わってくる。一方幸奈の両肩には暖かくて大きな、そして豆やタコ等の感触が伝わっていた。
 ──平常心、平常心、平常心……
 二人は全く同じ事を自らに言い聞かせて顔が真っ赤な事以外はお互いに悟られないようにしている。
 奏輝がゆっくりと力強く肩を揉み始める。すると

「……んっ!」

 何かに耐えるような声と共にビクッと幸奈の身体が震えた。

「い、痛かったですか!?」

 奏輝はその反応にギョッとして揉むのを中断する。親や姉妹にやるのと同じ調子でやったのがダメだったかと反省してると

「ち、違うの……その、気持ちよくて……つい……声が……」

 元々赤かった幸奈の顔が恥ずかしさにより更に赤くなってか細い声でそう説明した。

「そ、そうだったんですか……痛かったら遠慮せずに言ってくださいね。それと揉んで欲しい所とかも」
「え、ええ……取り敢えず、またお願いします……」

 幸奈のその言葉に頷いて奏輝は肩揉みを再開する。先程の事がよっぽど恥ずかしかったようで、幸奈は口を手で押さえて声を出すのを必死に抑えているがそれでも時折、普段の幸奈は出さないような小さな声が漏れてしまう。

「──っ、……ん…………んっ…………」

 揉んでいる奏輝からすると辛そうにも見えるのだが止めて、と言われていない所を考えるとやはり先程言われた通り気持ちいいのだろう。
 家族にした時に母には「あ〜奏輝の肩揉みは〜世界一ィ〜」と言われ、姉には「弱い! 貴様は肩揉みを舐めているのか! そーくん、君なら出来る! さぁ私の肩を揉めぇ!!」と叱られているのか励まされているのかよく分からない事を言われ、そして妹には「気持ちいいんだけど機械みたい……兄さんってロボット……?」と引き気味に言われていた。
 幸奈のこの反応よりもよっぽどそっちの方が気楽だとそんな事を思い出しながら幸奈の反応から意識を逸らしていた。
 しかし、幸奈の反応が両手を通じて直に伝わってくるため奏輝はそれに耐えきれず手を動かすことを止めてしまった。

「そうき、くん……?」
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