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空に星が輝く様に
390部分:第二十九話 壊れてしまったものその九
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第二十九話 壊れてしまったものその九

「これから」
「星華ちゃん立ち直れない?」
「まさかと思うけれど」
「だから学校に来ないんじゃ」
 州脇は考えていた。星華がどうして今も学校に来ないのか。考えれば考える程だった。そうした答えしか思い浮かばなかった。
 それで言う。するとだった。
「ねえ」
「うん」
「どうしたの?」
「行ってみる?」
 今度言ったのは橋口だ。二人は彼女の言葉に顔を向けた。
「星華ちゃんのお家」
「そうする?」
「やっぱり」
 二人も彼女の言葉に頷く。そうしてだった。
「じゃあ今日にでも」
「あっ、今日はまだ」
 野上がだ。それは止めたのだった。
「止めた方がいいわね」
「今日はなの」
「ええ、その方がいいわね」
 彼女もまた他の二人に話した。
「ちょっとね」
「タイミングを見るのね」
「つまりは」
「ええ、その方がいいわ」
 これが彼女の考えだった。
「その方がね」
「じゃあ少し時間を見て」
「そうしてなのね」
「時間を見て行こう」
 具体的な言葉だった。
「一週間位ね」
「それだけ待てば星華ちゃんも少し落ち着くかしら」
「そうよね」
 二人はまた野上の言葉に頷く。彼女達も星華のことを真剣に考えていた。
 そしてであった。ちらりと月美を見る。今日も横には椎名がいて二人で楽しく話していた。
「若しかして私達って」
「そうよね」
「ひょっとしたら」
 暗い顔での言葉だった。
「とんでもないことしたかも」
「軽い気持ちで星華ちゃんを」
「どうしようもない状況にしたのかも」
 こう思いだしていたのである。
「それで星華ちゃんに何かあったら」
「どうしよう」
「大変なことになったら」
 少しずつだが気付いてきたのだ。そしてだ。
 椎名もその彼女達を見た。それで目を少しだけ光らせた。しかしそれは今は隠してだ。隣にいる月美に対してこんなことを言うのだった。
「今日は」
「うん。今日は」
「放課後面白い場所に行ったら?」
「面白い場所?」
「そう、デートに」
「時間が」
 月美が言おうとする。だがその前にだった。椎名は言い切ってみせた。
「時間はあるから」
「あるの?」
「時間は作るもの」
 こう月美に告げるのだった。
「だから」
「作るものなの」
「ジェームス=ボンドは仕事中でも」
「007よね」
「そう、女の子と遊ぶ時間は作るから」
「それって凄くないかしら」
「凄いけれど誰でもできる」
 言い切りはここでもであった。月美に言い聞かせるようにしても言葉だった。
「だからつきぴーも」
「時間を作ってなの」
「つきぴーも斉宮も奥手だから」
「そうかしら」
「そう、奥手だから」
 こう言ってであった。
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