第5章:幽世と魔導師
第169話「“代償”と、決着」
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そう。守護者が、まだ立ち上がるのだ。
「っ、行くよ……!」
それを見て、司が助けに行こうとする。
それに続き、他の面子も助けに行こうとして……
「その必要はないよ」
合流してきた紫陽によって、それは止められる。
「……もう、決着はついた」
「で、でもまだ守護者は……!」
「いや、時が来たのさ。黙って見てな」
成り行きを見届けろと、紫陽は目でそう言った。
あまりに確信めいたその言動に、誰もが足を止めて再び成り行きを見た。
「……まったく、笑えない、な……」
立ち上がり、再び戦闘が可能になった守護者を、優輝も見ていた。
魔力を使い果たした優輝とは違い、守護者はまだ霊力があった。
それにより、体のダメージをある程度回復してしまったのだ。
既に蓄積したダメージで弱っているとはいえ、それでも今の優輝では勝つのは絶望的でしかなかった。
「…でも、やるしか、ない、か……」
息も絶え絶えになりながらも、優輝は立ち上がろうとする。
「大丈夫だよ」
「―――何?」
その時、優輝の背後から声が掛けられた。
その声は、視界に映る守護者と同じ声で……
「……あとは、私が責任を持って決着をつけるから」
そして、姿さえも、瓜二つだった。
「……やっと、現世に出てこられた」
彼女は“有城とこよ”。
守護者の本体である存在だ。
“やっと”と言う言葉の通り、彼女は現世に出るのに手間取っていた。
……そう。これは紫陽が言っていた“解決策”。
守護者の本体であるとこよ本人が干渉し、守護者を倒す事。
干渉には時間がかかるため、紫陽は犠牲が多くなると言っていた。
その時間が、ついに満たされたのだ。
「ここまで弱らせたのに容赦なくやるのもどうかと思うけど……」
「……貴女は、一体……」
前に出るとこよに、優輝は思わず尋ねる。
二人称が“貴女”になったのは、その身から発せられる強さを感じ取ったからだろう。
「私は有城とこよ。幽世の守護者にして、幽世の大門を閉じる者。……志導優輝君だね?後は任せて大丈夫だよ」
「……有城、とこよ……」
話に聞いていた本人の登場に、優輝も驚いていた。
それを尻目に、とこよは守護者と向き直る。
「……私にも、人並みの寂しさはあったんだろうね。故郷……というより、あの学園に帰りたくて、江戸があった場所へと向かっていた。……でも」
「ッ……!」
ギィイイイン!!
「もう、終わりの時間だよ」
大ダメージを受けたとは思えない程の勢いで、守
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