第5章:幽世と魔導師
第169話「“代償”と、決着」
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が出現する。
そこには、海の上で緋雪の攻撃を受け止め続ける優輝の姿があった。
そう。この時に優輝は恋や愛に関する感情を失った。
それを“代償”にしたことで、優輝は導王の時の力を取り戻し、緋雪の心を救った。
「―――……そして、“人間として生きる可能性”を犠牲にした。心を閉ざした幼馴染を救うために、“人に戻れる可能性”を潰し続けた。結果、可能性は閉ざされた」
映像が消え、今度はいくつかの映像が映し出された。
優輝の偽物との戦い。司を助ける時の戦い。そして、死にゆく司を助ける時。
それらは、全て限界を超えた力の行使だった。
故に、優輝は“人間”ではなくなり、受肉した“英霊”となった。
司の命を救うその時まで、“人に戻れる可能性”はあったのに。
それを潰して、司を救っていた。
「―――そして、今」
映し出した映像は消え、改めて外の様子を映す映像に視線を戻す。
「……“感情”を、犠牲にした」
そういう優奈の表情は、苦虫を噛み潰したかのように歪んでいた。
「……嗚呼、このままだと、“可能性”の代償で力尽きるのが先かもね」
そこまで言って、“いや”と優奈は考え直す。
「“可能性”は私たちの領分。まだまだ乗り越える“可能性”は尽きていない。……私も、そのためにいるようなものだしね」
“それに”と続け、別の映像を出す。
そこには、なのはと奏が映っていた。
「……どうやら、私だけじゃないみたい」
微かに笑みを浮かべて、全ての映像を閉じる。
そして、何もない白い空間を見上げながら、ぽつりと呟いた。
―――……時は、もうすぐそこまで来ている。覚悟、決めなきゃね
一方、司達は。
「………」
「………」
意味深な発言をしたなのはと奏に、二人をよく知る者達の視線が集中していた。
「“代償”って……“可能性”って……何を、知っているの?」
「………」
「ねぇ!!」
司の言葉に、二人は答えない。
「どういう、事なの……?」
「わ、私にもわかんないよ……」
「………」
フェイトもアリシアも、困惑していた。
二人をあまり知らない鈴達は、周囲の警戒と戦況の把握をしながらも、なのはと奏に注意を向けていた。
「ッ………」
「帝?」
そして、帝は。
帝だけは、二人を見て震えていた。
まるで、二人の正体を知っており、それで恐れているかのように。
「……っ、は、れ……?」
「えっ?」
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