大学生そうゆな
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靴を履いた幸奈を送り出そうとした奏輝。しかし、幸奈はドアを開ける前にクルッと反転して彼の所まで戻ってきた。
「忘れ物ですか?」
「ええ。奏輝君、ちょっと屈んで?」
「? はい」
幸奈の言葉に首を傾げながらも、玄関で更に開いた差を縮めるように屈んで幸奈の目線に合わせた。
スッと幸奈の顔が横に行ったかと思ったら、奏輝の左頬に柔らかい感触が伝わり、囁きが耳に届いた。
「何も出ないと言ったけど、これなら幾らでもできるわね。勿論、奏輝君だけにだけど」
不意を突けたのが嬉しいのかフフッと微笑んで幸奈は唇を触る。
一方で奏輝は、された事を理解はしているがどう反応していいか分からず何度か瞬きしてから珍しく顔を赤くした。
「あ、改めて、い、行ってくるわ」
「あ、はい。行ってらっしゃい……」
お互いに恥ずかしくなったのか幸奈は急ぎ足で今度は止まらず、勢いよく出ていった。
「……あれは反則ですよ……」
──大好きよ。
キスとストレートな愛の言葉で奏輝は一人になった家で、思い出しながら破顔した。
ゼミの歓迎会は二人の家から少し離れた場所の居酒屋で開催され、幸奈は約束を守りずっとソフトドリンクを飲んでいた。
「やっぱ桐凪さんも飲もうぜー! みんな飲んでるからさー」
そうやって何度目かの酒を勧める言葉を口にしたのは四年生の、ゼミでリーダー的な存在である男子だ。
「ごめんなさい。私、お酒は飲めなくて……」
何回目かになる断りの言葉を言い、幸奈はグレープフルーツジュースに口を付ける。
「幸奈ちゃん飲めないんだねー。なんかイメージだと酒豪っぽいんだけどなー」
隣に座っていた幸奈と同じ学部の女子が意外そうにそう言う。
「飲むとすぐに睡魔に襲われて寝てしまうの。奏輝君の方がよく飲むわね……赤くなってる所は見たことないけど……」
「空浪君ってお酒好きなんだ! あの外見で強いって意外だなー」
「え? なになに? 桐凪ちゃんの彼氏の話? 聞かせて!」
そこから女性陣は幸奈に質問の嵐を浴びせていった。
「それじゃそれじゃ写真とかあるの?」
男女問わず、美人と評判な幸奈の彼氏がどんな人か気になったようだ。
「あまり多くは無いけど……数枚なら……」
幸奈はスマホを起動させて二人の写真──は流石に見せるのが恥ずかしく、奏輝単体が写っているフォルダをタップして見せる。
「へーこれが……」
「ほうほう……」
「うーん……」
『『普通ね』』
女性陣はバッサリと奏輝の容姿についての感想を述べた。後ろから男性陣も写真を見て「ナヨナヨしてんなー」や「ザ・もやしっ子か」「オレの方がイケメンじゃん。こりゃ桐凪ちゃん攻略できち
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