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才能売り〜Is it really RIGHT choise?〜
Case2-2
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なずいてあたしに言った。
「わかったよ、契約成立さ。あ、でも才能の交換後の返品は一切受け付けないからそこのところよろしく。前に勘違いした人にひどい目に遭わされたこともあったから、君は違うと嬉しいなぁ」
 だいじょーぶだよとあたしは答えた。逆恨みかぁ、自分で選んだ結果なのにひどくない? 才能屋さんも大変なんだなぁとあたしは思った。
 灯さんは淡く微笑んであたしに言う。
「じゃあさ、もっと近くに来てくれないかな。才能の交換には相手に触れる必要があるんだ。僕はうまく歩けないんだよ。立ち上がるのも億劫(おっくう)だから、いつも椅子に座ってる。ああちなみに生まれつきじゃないよ。勘違いした誰かさんにやられたのさ。ひどいよねぇ、まったく」
 言って、灯さんはカウンターに隠された足を軽く叩いた。ひどい人もいるものなんだなぁ。
 そんなわけで、あたしは灯さんに近づいた。あたしはカウンターの木に自分のおなかをくっつけて元気よく笑った。「これでいーい?」とあたしがきくと、「オーケー、そのまま」と返事が来る。きらっちはそんなあたしと灯さんとを興味深そうな目で見つめていた。今から才能が交換されるんだ、そりゃあ面白いだろうな。
 灯さんは、言う。
「それでは始めるよ、お嬢さん。最後にもう一度確認だ。君が望むのは美貌で、代わりに君がくれるのは料理の才だね。これでオーケー?」
「オーケーでぇす」
 あたしがうなずくと、灯さんはその顔から穏やかな笑みを消してあたしのおでこに手を当てた。あたしがびっくりして固まると「動かないで」と声が飛ぶ。これが才能を交換するということ? よくわからない感覚が、あたしの中を吹き荒れた。派手な音も光も無い。魔法じゃない、けれど魔法みたいな奇跡。あたしは今、非日常の中にいる。そんなことを感じさせるような奇妙なひとときだった。
 何かがあたしの中にやってきて、代わりに何かが永遠にいなくなったような気がした。
 それからしばらくして。
「……終わったよ」
 声がした。あたしは思わず力を抜くと、ぐらりぐらりと視界が揺れた。「大丈夫?」と駆け寄るきらっち。ああ、あたし、相当緊張していたみたい。
 そしてあたしに駆け寄ったきらっちは、つぶらなその目を真ん丸にして、あたしを見て固まった。
 あたしはあたしの顔を見ることなんかできないよ。でも、きらっちにはモロに見える。
 きらっちはわなわなと唇を震わせて、言った。その顔は青ざめているようにも見えた。
「才能屋さんって、本当だったんだ……」
「ひどいなぁ、疑われていたのかい」
 そんなきらっちに灯さんは朗らかに笑う。
「じゃ、君にもその証拠を見せてあげるよ。えーと、鏡、鏡……あった、これだ」
 灯さんはしばらくカウンターの中をごそごそやったあと、シンプルなプラスチックの枠の鏡を取りだし
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