再会した友の姿に
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の勝ちだ!!」
ゼレフの肉体が氷に包まれていく。それと共にグレイの体も、輝きを失いつつあった。
『グレイ、お前という奴は・・・』
「ウル・・・」
その時、彼の脳内には一人の女性の声が響いてきた。それは彼が尊敬して止まない師匠の声。
『生きることを諦めてはダメよ』
「悪ぃ・・・もう決めたんだ」
『やめなさい』
「これしか方法はなかった・・・」
『やめて』
「最後までありがとう、ウル・・・」
グレイの命が尽きるかと思われた。その時だった。
「やめろぉぉぉぉぉ!!」
間一髪で、ナツが彼の最期の瞬間を食い止めた。
「来たか」
グレイは魔法を阻止されたことで絶対氷結は解除され、ゼレフも元通りの姿へと戻る。彼はようやく揃った役者に笑みを浮かべている。
「お前・・・忘れちまったのかよ。その魔法・・・前にも一回止めたはずだぞ」
「俺は・・・俺は・・・一時の感情に流され・・・仲間を殺そうとした。もう誰にも顔向けできねぇ!!だから・・・」
「そんなことはねぇよ!!」
フロッシュを殺し、リオンを殺したグレイはその罪悪感に苛まれていた。しかし、ナツはそれでも彼を失うことはできなかった。
「なぁ、グレイ・・・俺たち、友達・・・だろ?」
「・・・」
「死ぬなよ・・・死のうとか思うなよ!!生きろよ!!」
涙を堪えきれず袖口でそれを拭うナツ。そんな彼を見て、グレイはようやく言葉を絞り出した。
「けど・・・お前、ゼレフを倒したら・・・」
「死ぬ・・・勝っても負けても死ぬんだ、残酷な運命だ」
「死なねぇよ!!」
立ち上がりゼレフを見据えるナツ。彼の肉体は炎に包まれていた。
「運命だと!?そんなもん俺が燃やしてやる!!」
「うん、大丈夫だよ、きった!!だってナツだもん!!」
ハッピーは最後の勇姿になるかもしれない友の頼もしさに涙を溢す。一方のゼレフはいまだに余裕そのものだった。
「運命を燃やす・・・か。面白い表現だ。僕はね・・・この呪われた運命を受け入れてきた人間だ。なぜかわかるかい?そうするしかなかったからだ。それが運命というものだ」
上着を捨て去り本気モードに突入したゼレフ。二人の兄弟の死闘が繰り広げられようとしていた。
「「ハァ・・・ハァ・・・」」
息を乱して巨大な魔力の元へとやって来た男たち。それを感じ取ったティオスは、ある少年の方へと向き直った。
「やっと来たか、シリル」
「レオン・・・」
ついに素顔を露にしたティオスを見たシリル。彼は大切な友の変わり果てたその姿に、目付きを鋭くさせていた。
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