381部分:第二十八話 見られたものその十二
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っても焦る奴は馬鹿)
椎名の言葉はここではきついものだった。
(それで失敗する奴に限って自分では責任を取らない)
(まあそういう奴いるよな)
(斉宮もそういう人間になりたくなかったら)
(落ち着けっていうんだな)
(そういうこと)
椎名がここで言うのはこのことだった。
(いい。しっかりする)
(わかったよ。それじゃあな)
陽太郎はまた踏み止まれた。そのうえで落ち着いて様子を見守るのだった。二人が囁き合っているその間にもだ。星華達は月美に言っていた。
「それでどうするのよ」
「別れるの?」
「それともどうするのよ」
三人は顔を前にやって月美を問い詰めていた。
「別れるんでしょ」
「そうするわよね」
「若しそうしなかったら酷いわよ」
「いい?私だってね」
星華の言葉はここでは一人称だった。
「何時までも言わないわよ」
「そうよ、どうしてもって言うんなら」
「今ここでね」
「思い知らせてやるわよ」
実際に橋口が手をあげようとした。ここで、であった。
椎名がだ。さっと陽太郎に囁いた。
(今よ)
(ああ、わかった)
(つきぴーを御願い)
こう陽太郎に告げるとであった、
陽太郎は木陰から出た。そのうえでその橋口と月美の間に入ってであった。振り下ろされる彼女の右手を自分の左手で受けてみせたのだった。
「えっ!?」
「どういうこと!?」
「何で斉宮がなのよ」
まず驚きの声をあげたのは三人だった。顔にもそれが出ている。
「何で出て来たのよ」
「どうしてなのよ」
「何処から?」
「そんなことはどうでもいい」
椎名も出て来た。彼女もまた四人と月美の間に入る。そうして彼女を護るのであった。
二人は星華達と対峙する。彼等にとって正念場のはじまりであった。
見られたもの 完
2010・11・9
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