第四十五話 二学期になってその十七
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「女の子しかいない教会のお婿さんになるの」
「成程ね」
治良さんが詰所の事務所から言ってきました、ここで。
「これは一つの教会が助かりそうだね」
「そうなります?」
「なるよ、やっぱり教会は夫婦揃ってだからね」
治良さんは阿波野君に笑って言っていました、私はそのやり取りをただ聞いているだけでした。
「いいと思うよ」
「じゃあ頑張っていきますんで」
「その意気だよ、千里ちゃんもね」
ここで私にお話を振ってきました。
「頑張っていってね」
「はい、ただ何か」
「何かっていうと?」
「阿波野君が会長さんですか」
その阿波野君をどうにもというお顔で見つつ治良さんに応えました。
「何か不安ですね」
「それはあれだよ」
「あれっていいますと」
「しっかりした奥さんがいればね」
それでというのです。
「いいんだよ」
「そうなんですね」
「そう、教会は奥さん次第だからね」
このことはよく言われます、女の人はおみちの土台なので奥さんがしっかりしている教会はいいというのです。
「だから阿波野君はね」
「おみちに伏せ込んで、ですね」
「まずは立派なようぼくになって」
そうしてというのです。
「奥さんを助けてあげるんだよ」
「そうなる様に努力します」
「そういうことでね」
治良さんはここでまた私をちらりと見てきました、そのうえで私にも言ってきました。
「千里ちゃんも宜しくね」
「宜しく、ですか」
「そう、宜しくだよ」
こう言うのでした。
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