提督、里帰りする編
提督、里帰りする。その1
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娘が立ち寄るべきではないだろう。君子危うきに近寄らず、という奴だ。
「乗り換え含めて9時間のフライトの予定だ。今日一日はほぼ移動だけで終わるからな、はしゃぎすぎるなよ?」
俺が釘を刺すと、はーいと返事が返ってくる。俺は引率の先生かよ。そんなこんなで執務も終わった午後9時、俺達はブルネイの空港を発った。
乗り換え時間もあって、成田に着いたのが翌朝の午前7時。朝も早いというのに人でごった返している。
「……というか、軍人が多すぎねぇか?」
これから国賓でも迎えるのか、それともテロの予告でもあったのか?という位に物々しい雰囲気に包まれている。簡単な入国審査をこなしてゲートを潜ると、こちらに気付いた若い将校らしき軍人を筆頭にわらわらと駆け寄ってくる。
「金城大将、お迎えにあがりました!」
やっぱりか。何となく嫌な予感はしたがこの物々しい警備は俺の出迎え用か。さっきまで周囲に散らばっていた陸軍の兵士らしき小銃を担いだ男達がズラリと並んで、こっちに向かって敬礼している。周りにいた空港の利用客はこちらを見てヒソヒソしている。これじゃあプライベートな旅行どころの話じゃない。警備してもらうにしても悪目立ち過ぎる。
「出迎えご苦労。しかし、今回の帰国はプライベートな物であり、軍務に属する物ではない。よって警護は不用!」
要するに、とっとと帰れと言っている訳だ。
「いや、しかし……」
言い澱む将校に、睨みを効かせる。
「それとも何か?ここに居るウチの連中よりも強い兵士が居るのか?この中に」
艦娘達も見た目はこんなに可憐な女ばかりだが、一皮剥けば最前線に立つ一端の兵士だ。こう言っちゃあナンだが平和な内地でぬくぬく育った陸軍兵に遅れを取るような愚図はウチには居ない。そもそも、護衛対象より弱い護衛とか何に使えと?弾除け?
「陸軍は本土防衛という大事な任務が在るだろう。こんなオヤジに構ってないで、も少し鍛えるんだな」
将校の肩をポンと叩いてやり、その場を後にする。後ろの方では悔しげに佇む将校の姿が見える。ああいう悔しさをバネに出来るタイプは伸びる。若さ故の跳ねっ返りの強さも個人的には好ましいがねぇ?
「相変わらずdarlingは手厳しいネー」
苦笑いを浮かべる金剛。
「そうでしょうか?事実を的確に指摘しただけかと」
どこまでもクールな加賀。
「あらあら♪」
そんな状況を傍観して楽しんでいる陸奥。
「パパ格好いい!」
目をキラキラさせている山風。珍しく黙り込んでいる青葉と秋雲は、今のやり取りをそれぞれ写真とイラストに収めるのに忙しいらしかった。
「お前らも大分良い性格してるけどな……」
「それは提督の教えの
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