第五次イゼルローン要塞攻防戦1
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ますか」
「いい。あれはあれで有意義だ。俺たちが我慢をすればな、それよりもつまらないものだな」
「初めての大規模な艦隊戦です。喜んでおられるのかと思っていましたが」
「最初だけな。だが、駆逐艦一隻ではせいぜい敵を一隻沈めるだけだ。戦局には何ら意味をもたらさない。学べることも……」
そっと背後を見て、ラインハルトは薄い唇をまげた。
「駄々っ子をなだめる母親の気持ちがわかるくらいか」
「……アンネローゼ様の気持ちが理解できるようになったのでしたら、十分ではございませんか」
「キルヒアイス」
横目でじろりとした視線に、キルヒアイスが微笑で答えた。
「お前は嫌な奴になったな」
怒っている様子を見せるが、表情が緩んでいれば説得力もない。
だが、すぐに表情を元に戻して、前を向いた。
徐々に近づく艦影が映り、攻撃差はより激しさを増している。
同時にクルムバッハの悲鳴に近い声も大きくなっているのだが。
「キルヒアイス……中尉。どうみる」
「敵は数を頼んで押し寄せているようですが、少し変ですね」
「ああ、何か功に焦る新兵のように見える……だが、敵は精鋭のはず」
ラインハルトはそのままに、静かに瞳を閉じた。
長い睫毛が瞳を隠し、口元に手を当てて、考える。
瞬間、瞳が開いた。
「そうか。総員、後退の合図とともに、全速力で後退せよ。分艦隊司令に伝達、敵はこちらとの接近戦を考えている可能性があると」
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