暁 〜小説投稿サイト〜
転生とらぶる
機動戦士ガンダム
2127話
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ラルと話してから、数時間後……その頃には、俺の姿はもうボルドーにあった。
 もっとも、普通にここまでやってきたのではなく、情報局に所属しているタチに連絡を取り、ズム・シティからボルドーに移動する輸送船がどこにあるのかを教えて貰い、密航してきた訳だ。
 ボルドーの宇宙港に到着したら、密航する時にも使った影のゲートを使って外に出る。
 すると、何という事でしょう。俺の姿は、あっという間にボルドーにあるのでした。
 ……なんて、TV番組風のナレーションを考えていてもしょうがないか。
 まずはジェーンからの情報にあった住所に行って、ケンの妻と子を確保する必要がある。
 脱出する時は、色々と面倒そうではあるが……影のゲートを使えば、また密航するのは難しい話ではないだろう。
 ともあれ、現在の俺は観光客の振りをしてボルドーを見て回る。
 完全にコロニー産の葡萄でワインを作ったというだけあって、このボルドーには葡萄畑がかなり広がっている。
 アルコールの類は飲めない――訳ではないが止められている――俺だが、それでもこの光景が凄いというのは分かる。
 コロニーの中に葡萄畑……ミスマッチではあるが、それでもワインを作れているという事は、恐らく問題はないんだろう。
 寧ろ、コロニーのような場所でワインを作るという事は、地球で作られているワインとまた微妙に違う味になるのかもしれない。
 宇宙という環境があるからこそ、そのような事になる……かもしれない。
 この辺りはあくまでも俺の予想だが、恐らくはそんなに間違っていないと思う。
 実際、このボルドーで作られたワインは、政府の人間とかで半ば独占しているらしいし。

「ま、何はともあれ……観光を楽しみますか。折角の1人旅なんだし」

 周囲にいる観光客に、意図的にそんな台詞を聞かせる。
 ……何人かの大人が、俺のような子供にはまだボルドーを観光するには早いと言ってきたのは、取りあえずスルーしておく。
 ともあれ、ボルドーの中を見て回る。
 ジェーンから聞いた場所に真っ直ぐ向かうと色々と目を付けられかねないし、そうならないようにする為には、やっぱり観光客であると見せておいた方がいい。
 そんな訳で見て回ったのだが……うん、特に面白いものはない。
 いや、ワイン好きとかなら色々と試飲とか出来て嬉しいのだろうが、俺はそういう真似が出来ないしな。
 俺が見学に来るにはまだ早いといったアドバイスは、奇しくも正解だった訳だ。
 俺がワインの試飲なんかをしようものなら、最悪このボルドーというコロニーが崩壊してもおかしくはない。
 せめてもの救いは、マクロス世界に行った時のように別の世界に転移する可能性は低いだろという事か。
 ……ないと言い切れない辺り、自分の酒癖の悪さに呆れてしまう。


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