374部分:第二十八話 見られたものその五
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第二十八話 見られたものその五
「そういうことね」
「そうそう。そういうことだから」
「遠慮しないで飲んでね」
「ぐいっとね」
「わかったわ。それじゃあ」
こうして椎名にそのジュースを渡すことができたのだった。三人はすぐに椎名達に別れを告げて校庭を後にした。そうしてだった。
三人でだ。笑顔で言い合うのだった。
「これでよしね」
「そうね。これでね」
「準備万端」
「後は放課後にね」
「西堀を呼んでそれで」
「あいつに言えば終わりよ」
笑顔で話す。そうしてだった。
作戦は成功したと確信していた。ところがだった。
椎名はだ。そのジュースを見てまずはだ。ティッシュを取り出したのだった。
「ティッシュ?」
「そう、それ」
それを出しながら月美に対しても答える。
「ここはね」
「ここは?」
「まず缶の表を拭く」
実際にそのティッシュで缶を徹底的に拭くのだった。
そしてだ。一度立ち上がってそれでだった。
傍の水道のところで水を出してさらに丹念に洗う。またティッシュで拭く。
そうしてだった。そのうえで月美の隣に戻ってようやく飲むのだった。
それは缶コーヒーだった。飲み終えてから言う。
「美味しい」
「そうね。この缶コーヒー美味しいよね」
「コーヒー自体はいい」
こうも言う椎名だった。
「ただ」
「ただ?」
「何か気になったから拭いた」
そうしたというのである。
「そうした」
「それでなのね」
「そう、これで大丈夫」
「おいおい、随分用心深いな」
狭山が椎名のその言葉を聞いてこう言うのだった。
「何か毒があったみたいだな」
「流石にそれはないけれど」
椎名もそれはわかっていた。
「けれど。妙なものを感じたから」
「それでか」
「そう。念入りに拭いて洗った」
椎名はその理由まで話した。
「そういうこと」
「やっぱり何か毒が塗られてるみたいだな」
「けれどこれで大丈夫」
飲み終えてからの言葉だった。
「問題ない」
「それにしても」
月美は少し怪訝な顔になって言うのだった。
「急にジュースなんて」
「それも気になる」
椎名はそこも指摘した。
「差し入れにしても何もしてないのに」
「おかしいっていうの?」
「そう、おかしい」
まさにそうだというのである。
「やっぱり」
「だからか」
「警戒してるのね」
「そう」
狭山と津島にも答える。
「用心には用心を」
「まあ幾ら何でもな」
「毒とかはないでしょ」
二人も流石にそれはないと言った。
「そんなサスペンスドラマみたいな話はな」
「流石にね」
「けれど下剤位はあるかも」
まさにその通りだった。しかし今はだった。
椎名は確信していなかっ
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